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  1. 愛知県議会 2023-02-01
    令和5年2月定例会(第6号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和5年2月定例会(第6号) 本文 2023-03-08 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 100 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 2 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 3 :  ◯二十六番(田中泰彦君) 選択 4 :  ◯総務局長江口幸雄君) 選択 5 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 6 :  ◯三十五番(福田喜夫君) 選択 7 :  ◯保健医療局長吉田宏君) 選択 8 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 9 :  ◯三十番(ますだ裕二君) 選択 10 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 11 :  ◯三十番(ますだ裕二君) 選択 12 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 13 :  ◯三十六番(河合洋介君) 選択 14 :  ◯県民文化局長伊藤正樹君) 選択 15 :  ◯三十六番(河合洋介君) 選択 16 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 17 :  ◯三十七番(日比たけまさ君) 選択 18 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 19 :  ◯三十七番(日比たけまさ君) 選択 20 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 21 :  ◯十一番(加藤貴志君) 選択 22 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 23 :  ◯十一番(加藤貴志君) 選択 24 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 25 :  ◯七十五番(鈴木純君) 選択 26 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 27 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 28 :  ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 29 :  ◯政策企画局長(沼澤弘平君) 選択 30 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 31 :  ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 32 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 33 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 34 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 35 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 36 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 37 :  ◯五十番(犬飼明佳君) 選択 38 :  ◯環境局長(水野達也君) 選択 39 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 40 :  ◯十二番(しまぶくろ朝太郎君) 選択 41 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 42 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 43 :  ◯五十二番(園山康男君) 選択 44 :  ◯福祉局長橋本礼子君) 選択 45 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 46 :  ◯六十八番(柴田高伸君) 選択 47 :  ◯保健医療局長吉田宏君) 選択 48 :  ◯六十八番(柴田高伸君) 選択 49 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 50 :  ◯四番(朝日将貴君) 選択 51 :  ◯農林基盤局長(長田敦司君) 選択 52 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 53 :  ◯十六番(桜井秀樹君) 選択 54 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 55 :  ◯十六番(桜井秀樹君) 選択 56 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 57 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 58 :  ◯農業水産局長(矢野浩二君) 選択 59 :  ◯六番(杉浦正和君) 選択 60 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 61 :  ◯三十二番(岡明彦君) 選択 62 :  ◯農業水産局長(矢野浩二君) 選択 63 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 64 :  ◯十七番(おおたけりえ君) 選択 65 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 66 :  ◯十七番(おおたけりえ君) 選択 67 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 68 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 69 :  ◯七番(日高章君) 選択 70 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 71 :  ◯四十一番(山田たかお君) 選択 72 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 73 :  ◯議長(須崎かん君) 選択 74 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 75 :  ◯三十六番(河合洋介君) 選択 76 :  ◯労働局長(日高啓視君) 選択 77 :  ◯三十六番(河合洋介君) 選択 78 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 79 :  ◯八番(平松利英君) 選択 80 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 81 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 82 :  ◯十番(杉江繁樹君) 選択 83 :  ◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 84 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 85 :  ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 86 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 87 :  ◯九十二番(高木ひろし君) 選択 88 :  ◯建設局長(道浦真君) 選択 89 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 90 :  ◯二十三番(林文夫君) 選択 91 :  ◯都市・交通局長(金田学君) 選択 92 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 93 :  ◯二十四番(神谷和利君) 選択 94 :  ◯農林基盤局長(長田敦司君) 選択 95 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 96 :  ◯二十七番(鈴木雅博君) 選択 97 :  ◯労働局長(日高啓視君) 選択 98 :  ◯四十番(南部文宏君) 選択 99 :  ◯副議長(佐藤一志君) 選択 100 :  ◯副議長(佐藤一志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯副議長(佐藤一志君) おはようございます。  ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 第一号議案令和五年度愛知県一般会計予算か       ら第四十九号議案包括外部監査契約の締結に       ついてまで 2: ◯副議長(佐藤一志君) 第一号議案令和五年度愛知県一般会計予算から第四十九号議案包括外部監査契約の締結についてまでを一括議題といたします。  なお、第二十二号議案職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について、地方公務員法第五条第二項の規定により、人事委員会の意見を徴しましたところ、妥当なものであると認める旨の回答を受けましたので、御報告いたします。  この際、第一号議案令和五年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第一款議会費から第四款福祉医療費までの質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  田中泰彦議員。 3: ◯二十六番(田中泰彦君) おはようございます。  私からは、歳出第二款総務企画費第二項総務管理費のうち、行政デジタル化推進費についてお伺いいたします。  ウイズコロナの中において、三密を避けるための非対面、非接触のサービスが注目を集め、広く普及しました。具体的には、オンライン会議やキャッシュレス決済などが思い浮かびます。こうしたデジタル技術の活用は、感染症の拡大防止の有効な手だてとして、社会の中に定着してきています。  さらに、アフターコロナの社会を見据えますと、デジタル技術の活用は、働き方改革をはじめとして、県民の皆様の日々の生活や企業の経済活動に様々な変革をもたらすものと考えられます。この変革は、我々の生活をよりよいものにし、経済活動の活性化、生産性の向上に資するものであり、今後、デジタル技術の進展とともに、その流れは一層加速していくものと考えます。  社会全体のデジタル化やデジタル技術の県民生活への普及、浸透を踏まえますと、愛知県においてもデジタル技術を活用したサービスや、そのための機器、ソフトウェアを積極的に取り入れ、県行政のデジタル化、DXを一層進めていく必要があります。ウイズコロナ、アフターコロナの社会における新たな生活様式に適応した行政サービスを提供することで、県民の利便性の一層の向上が図られるものと考えます。  社会の変化を踏まえた行政のデジタル対応については、さきの一般質問において、我が党の飛田議員の質問に対し、来年度、オンライン申請に伴うキャッシュレス決済や電子契約を導入していくとの答弁がありました。県行政のデジタル化を進めていく上での入り口として、まず、デジタル技術を活用したサービスが利用できる環境を整備することは非常に有効な取組であり、今後も積極的かつ着実に進めていただきたいと思います。  県民や事業者の皆様と愛知県をつなぐ入り口という視点で考えると、オンラインにより行政手続を行えるようにしていくという取組も非常に重要です。非接触、非対面による行政手続のオンライン化は、ウイズコロナ、アフターコロナの社会において県民サービスを向上させていくために必要不可欠なものであります。
     また、オンラインで手続をしていただくことは、行政事務の効率化にもつながります。オンラインにより行政手続が行われると、手続に必要な情報はデジタルデータとして県へ提出されます。その後のバックヤードにおける事務処理をデジタル処理することが容易になり、反復する定型業務などはRPAに処理させるなど、手続によっては大きな業務効率が見込めると考えられます。  行政手続のオンライン化については、本県では二〇二一年五月に行政手続のオンライン化方針を策定して取組を進めており、ウェブサイト上にある汎用的なシステムである愛知県電子申請・届出システムや業務ごとの個別システムを通じて、オンラインで申請や届出を行うことができる行政手続を拡充しているものと承知しております。  一方で、オンラインで申請等が可能な手続を増やしても、実際に県民や事業者の皆様に利用していただかなければ、せっかくのシステムも宝の持ち腐れになりかねません。  そのため、県民や事業者の皆様がオンラインによる申請や届出を身近に感じていただけるよう、使い勝手のよいものとして工夫も大切です。  そこでお伺いをいたします。  行政デジタル化推進費の中には、行政手続のオンライン化を推進するための経費が計上されております。本県における行政手続のオンライン化の進捗状況はどのようになっているのか、また、オンライン申請を利用していただくために、どのような取組を行っていくのかお伺いいたします。  さらに、県行政のデジタル化、DXを進めていくためには、デジタル技術を活用したサービスや、そのための機器、ソフトウェアを整備するだけでは十分とは言えません。整備されたデジタル環境や新たなデジタル技術を用いて、県民の利便性向上と業務改善につなげていく意欲と実行力を持った県職員が必要です。  また、キャッシュレスや電子契約のような県庁共通の業務については、総務局が全庁に横串を刺して進めるものと伺っていますが、各行政分野でデジタル化、DXを進めていくためには、県庁全体でDXに対する認識を共有した上で、各分野の業務に精通した現場の職員が各分野の実情に応じて進めていく必要があるものと考えます。  そのためには、職員がデジタルに関する基礎的な知識やスキルを習得し、デジタルについて適切に理解して自ら活用できる力、いわゆるデジタルリテラシーを向上させていくことが重要であります。  そこでお伺いいたします。  行政デジタル化推進費には、県職員に対するデジタル人材の育成に係る経費も計上されております。県行政のデジタル化、DXに向けたデジタル人材を育成するため、どのような取組を行ってきたのか、また、来年度はどのような取組を行う予定であるのかお伺いいたします。 4: ◯総務局長江口幸雄君) 初めに、行政手続のオンライン化についてお答えをいたします。  行政手続のオンライン化に当たっては、二〇二一年五月の行政手続のオンライン化方針の策定以降、オンライン時の本人確認等の課題の解決に取り組みながら、県民の皆様が多く利用される手続を中心に対応を進めてきております。  これまでに約七百の手続を新たにオンライン化し、二〇二三年四月には、千を超える手続でオンラインによる申請が可能となる見込みです。この千余りの手続により、本県における手続の年間処理件数の半数に相当する約三百五十万件について、オンラインによる対応が可能となるものであります。  一方で、行政手続のオンライン化の推進には、対応する手続数を増やすだけでなく、県民の皆様が利用しやすい環境を整備することも重要であると認識をしております。  そこで、来年度、電子申請・届出システムに、県民の皆様が広く利用するLINEとの連携機能を導入してまいります。これにより、IDやパスワードを入力することなく、愛知県LINE公式アカウントから電子申請・届出システムにログインすることが可能となるほか、受付や審査の完了のお知らせについてLINEを通じて受け取ることができるようになり、オンライン申請の利便性が向上いたします。  今後も、オンライン申請が可能な行政手続を増やしていくとともに、県民の皆様にオンライン申請を身近に感じていただけるよう、利便性の向上に努めてまいります。  次に、職員のデジタル人材育成についてお答えをいたします。  本県では、デジタル人材の育成のため、昨年度からICTや情報セキュリティーに関する基礎知識の習得をはじめとした職員向けの研修を実施しております。研修は、職員が職場で受講できるよう動画視聴を中心とし、今年度は計三十のプログラムにより実施をいたしました。また、今年度から、在宅勤務時においても受講しやすいよう、限定公開によるユーチューブ配信などの取組を行い、一月末までに延べ約二千九百名の職員が受講をしております。  さらに、今年度の五月から一月にかけて包括協定を締結している日本マイクロソフト社と連携をし、グループワークによりデジタルを活用した課題解決を実践するDX特別研修を実施しております。この研修では、市町村の人材育成の機会の提供として市町村からも参加者を募集いたしました。この特別研修により、DXに必要な考え方やスキルの習得に加え、団体の規模や担当する業務を別にする様々な職員が協力して課題に向き合うことで、幅広い視野や協調性を養う効果もあったものと考えております。  来年度は、さらに、統計データの分析やグラフ作成等に用いられるデジタルツールの操作研修や、自治研修所と連携して、若手職員を主体に、業務に対するデジタル活用をテーマとした研修を新たに実施するなど、研修プログラムの拡充を図ってまいります。  引き続き、研修内容の充実や研修手法の改善を図り、県行政のデジタル化、DXを担う職員の育成を着実に進めてまいります。 5: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  福田喜夫議員。 6: ◯三十五番(福田喜夫君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第九項医薬費、ドクターヘリ運営費についてお尋ねします。  ドクターヘリとは、救急処置を必要とする重篤な患者が発生した現場などに、救急医療に精通した医師、看護師を派遣することを主な目的として、初期治療に必要な医療機器と医薬品を搭載した救急専用ヘリコプターで、国と県の共同事業で、費用負担は県と国が行っています。そのため、患者のドクターヘリの利用に係る金銭的な負担は一切なく、保険診療の範囲内の費用負担、往診料、救急搬送料、治療費等となっています。  愛知県では、平成十四年一月から、長久手市の愛知医科大学病院を基地病院として全国で四番目のドクターヘリ事業が開始され、運航管理は、以前、愛知県防災ヘリコプターの運航管理を行っていた中日本航空株式会社が担当しています。  ドクターヘリの要請は、一一九番通報を受けた消防本部が、通報内容や現場の救急隊などからの傷病者の重篤・重症度情報を基に出動要請を行っています。  ドクターヘリの着陸するポイントは、あらかじめ調査した小中学校のグラウンドや広い駐車場など、消防本部管轄区域ごとに選定されており、要請から五分以内に離陸して要請場所に飛行します。地上では、受入れの消防隊がドクターヘリの風圧による砂じん防止の散水や安全管理を担当して、救急車とドクターヘリをドッキングし、傷病者は医師の管理下となります。  なお、無線通信は、愛知医科大学病院のコミュニケーションスペシャリスト──以下、CSと言います──と、フライトドクター、消防本部通信指令センター、救急隊長、消防隊長が消防共通周波数で行います。その内容は、刻一刻と変わる傷病者情報、散水、安全管理などの着陸地点情報、救急車のドッキングポイント到着予定情報など、短時間に無線交信を行います。また、必要に応じて携帯電話のやり取りも行われています。  私は、今は長久手市も豊明市も管轄している尾三消防本部の消防官として、幾多のドクターヘリ事案を経験してきました。全国で唯一、実災害で東名高速道路の本線上に着陸させた交通事故事案では、東名三好インターチェンジと豊田インターチェンジの間の本線上で複数の重症傷病者が発生し、車両火災も同時に発生した事故の現場指揮官として対応したことがあり、今回、愛知県に二機目のドクターヘリが配備されることは大変すばらしいことと思いますが、複数のドクターヘリが運航されるに当たり、十分な運航制度の検討や県下統一のマニュアルの見直しと周知が必要と考えます。  まず、ドクターヘリの要請についてであります。  現在は、愛知医科大学病院のCSのみですが、来年度配備のドクターヘリは、豊明市の藤田医科大学病院に配備予定とお聞きしております。したがって、CSが二か所になる可能性があり、多数傷病者発生時など、ドクターヘリ二機要請の場合を含め、現行の運航ルールを見直す必要があると思います。無線通信の混信、情報のふくそう、消防本部の地上部隊との連携や増強など、ドクターヘリ一機体制とは異なる状況となってきます。  また、他県で二機のドクターヘリを運航している場合、比較的遠い場所に配備されています。静岡県の場合は、伊豆半島の伊豆の国市長岡の順天堂大学医学部附属静岡病院と愛知県にも近い浜松市の聖隷三方原病院となっています。静岡を東西に分けて運用されています。  今回の愛知県の場合、尾三消防本部管内の豊明市と長久手市と非常に近い場所にドクターヘリを二機配置するもので、出動に当たっては飛行高度も比較的低いところを飛行するドクターヘリが出動に当たり、飛行ルートによっては二機が接近したり、災害によっては二機同時要請、同時コントロールといったことも考えられます。できれば、消防本部から要請するCSを一か所に集約して、円滑にドクターヘリ二機運用を行う体制を整えることが重要と考えます。  さらに、愛知医科大学病院で運航しているドクターヘリ、EC135と比較して大型のドクターヘリを導入する計画のようですが、高速道路上も含め、あらかじめ選定されている着陸ポイントの区分も必要になると思います。  そこでお尋ねします。  県は、今後、ドクターヘリ二機体制を導入するに当たり、どのように消防機関等関係者との調整を進めていかれるのかお伺いします。  以上です。 7: ◯保健医療局長吉田宏君) ドクターヘリ二機体制導入に関する関係者との調整についてでございます。  ドクターヘリ二機体制の導入に当たりましては、安全性を十分に確保し、かつ効率的に運用していくため、とりわけ消防機関の皆様との協力が大変重要でございます。  異なる機種のドクターヘリを同時に運用するに当たりまして、消防機関からの要請ルールやヘリの離発着場所が新機種に適合しているかなど、運航開始時までにしっかり確認しておくべき事項がございますので、県といたしましては、愛知医科大学病院及び藤田医科大学病院はもとより、県内消防機関や医療機関の皆様と具体的な協議を進めてまいります。  二〇二三年度中の安全・安心なドクターヘリ二機運航体制の構築を目指しまして、関係者の皆様との調整を加速してまいります。 8: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  ますだ裕二議員。 9: ◯三十番(ますだ裕二君) 歳出第四款福祉医療費第五項障害福祉費のうち、障害者地域生活支援事業費に関連して、特に視覚障害のある方の支援について質問いたします。  視覚障害のある方の支援につきましては、私は二〇二一年九月議会の一般質問及び福祉医療委員会において質問いたしました。その際には、視覚障害のある方が安心して外出できるような支援策に力を入れていかなければならないとして、一般質問では、歩行者用信号機におけるスマートフォンを活用した高度化PICSの導入について、福祉医療委員会においては、視覚障害のある方がスマートフォンを活用するための支援策について質問いたしました。  今回の議案質疑におきましても、視覚障害のある方への支援策について改めてお聞きしたいと思いますが、今回は、より幅を広げ、視覚障害のある方への生活支援の観点から質問させていただきたいと思います。  近年は、高齢化に伴い、視覚障害のある方においても高齢者の割合が増加しており、その結果として、中途失明者の方が生まれつき視覚障害のある方よりも多くなっていると伺っております。その原因疾患の第一位は緑内障であり、その次に来るのが糖尿病の合併症としての網膜症とのことです。  つまり、視覚障害は、いつ誰にでも訪れる可能性のある障害であり、決して人ごとではないということを知っていただきたいと思います。視覚障害になると生活はどうなるのかということです。想像してみてください。今まで見えていた周りの景色が見えなくなる、大切な家族の姿が見えなくなる、これがどんなにつらく悲しいことなのか。そして、自分が今どこにいるのか、身の回りに何があるのか、さらには、自分にどんな危機が迫っているのか認識しづらくなり、結果として、外出をためらい家に籠りがちになってしまいます。そうすると、身体機能も衰えてしまい、場合によっては寝たきりになってしまうということも十分考えられます。  しかし、このような方でも、前向きに、目的を持って、その人らしく地域で生活をしていく、地域共生社会の実現のために様々な支援制度が用意されております。  こうした支援策のうち、視覚障害のある方の外出を支援する歩行訓練について紹介させていただきます。  八十二歳男性、原因疾患は緑内障の中途失明者のケースです。高齢で腰痛があり、白杖だけでは歩行が困難な方でした。そこで、歩行訓練士の支援を受け、ふだん使い慣れている両手で持つウオーキングポールに白色の反射テープを貼り付けて歩行訓練を行いました。その結果、寝たきりになる手前の状態から、ポールを使っての外出が可能な状態まで回復され、その後は、通い慣れたクリニックへ公営の循環バスに一人で乗って通院できるほどになりました。さらに、視覚障害のある方の読書用機械の操作方法もマスターし、生きる気力が湧き、生活スタイルにも大きな変化が起こったとのことです。  このように、視覚障害のある方が、自分自身のこれからの人生に文字どおり明るさを見いだし前向きに地域で暮らしていくためには、本人のやる気を引き出しサポートする仕組みが必要であり、誰一人取り残さない愛知をつくっていくためには非常に重要な取組であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  視覚障害のある方が地域で自分らしく暮らしていくために、どのように取り組んでいかれるのかお聞きいたします。 10: ◯福祉局長橋本礼子君) 視覚に障害のある方への支援についてお答えいたします。  視覚に障害のある方が社会参加を通して生きがいを持ち、前向きに生活していただくためにも、障害の特性に応じたきめ細かな支援を行っていくことが大変重要であると考えております。  障害福祉サービスを担う市町村では、視覚に障害のある方に対して現在の見え方を確認した上で、聴覚や触覚など他の感覚で補う自立訓練や、支援員による外出時の同行援護など、利用者の状況に応じた支援を給付するほか、それぞれの市町村の判断で歩行訓練など地域の実情に応じた生活訓練事業を実施しており、県では、こうした市町村に対して助成を行っているところでございます。  また、本県では、専門的、広域的な支援といたしまして、視覚に障害のある方向けのICTサポートセンターを二か所設置し、ICT機器の利用相談や訪問指導、講習会等を実施しております。  さらに、豊橋市内にございます県立の点字図書館であります明生会館におきましては、視覚に障害のある方の読書等をサポートする点訳・音訳奉仕員の養成や、スマートフォンの操作方法を教える当事者の育成にも取り組み、地域で活躍する支援人材の確保にも努めております。  視覚に障害のある方に住み慣れた地域で安心して暮らしていただけるよう、引き続き、市町村と連携しながら、こうした取組を着実に実施してまいります。 11: ◯三十番(ますだ裕二君) それでは、要望させていただきます。  視覚障害のある方が地域で生活していくためには、点訳奉仕員や音訳奉仕員など、様々な分野の方のサポートが必要であり、県民の皆様にもそうした方々の必要性を理解していただくことが大切であります。  中でも、質問で紹介いたしました歩行訓練士の役割は非常に重要でありますが、歩行訓練士は全国的にも数が少なく、本県でも十名に満たない人数であるとお聞きしております。  歩行訓練士をはじめとする視覚障害のある方を支援する人が少しでも増えていきますよう、県として取り組んでいただきますことを要望して、質問を閉じさせていただきます。 12: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  河合洋介議員。 13: ◯三十六番(河合洋介君) 私からは、歳出第三款県民環境費第一項県民生活総務費第一目県民生活総務費のうち、人権推進事業費に関して、人権が尊重される社会づくりに向けた取組について順次お伺いしたいと思います。  あらゆる差別や偏見をなくし、それぞれが個性を尊重され、居場所があり、活躍の機会がある、そんな世の中をつくっていくことが大変大きな理想であります。その理想を実現していくために、県には様々な取組を期待いたしております。  二〇二二年四月、愛知県は人権尊重の社会づくり条例を制定いたしました。この条例は、もう皆様御案内のとおり、人権尊重の社会づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進していって、あらゆる人権に関する課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的に、県、そして県民及び事業者の責務を明らかにし、人権尊重の社会づくりに関する施策の基本となる事項を定めております。大変崇高なこと、いいことが掲げられております。  このコロナ禍で、コロナ患者さんやその御家族の方が誹謗中傷を受けるようなトラブルもお聞きをいたしますし、実際に起こってもいます。また、医療関係者の方やその御家族、そういった心のない態度や言葉をかけられるような話を聞くと、私も心を痛めるどころか怒りも感じるところでもあります。最近では、マスクをつけても怒られ、マスクを外しても怒られ、時代によって誹謗中傷の対象も、文句の出どころも、傷つけられる尊厳も変わっていくのかもしれません。  条例の取組についてに話を戻しますけれども、愛知県の取組としては、大きくは、まず審議会を開催すると、人権施策の推進に関する重要事項に関し継続的に調査、審議を行っていき、絶え間ないブラッシュアップを行っていく、こうしたことがあります。これはとても重要だと思います。  今回、新年度の予算においても、愛知県人権施策推進審議会を開催していくという予算も計上されており、聞くところによりますと、人権尊重の社会づくり条例に基づく計画の策定や、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に関する概要の公表に関わる事項などについて調査、審議を行うなど取り組まれるというふうにお聞きをしております。しっかり取り組んでいってほしいと思いますし、継続性、とても大事だと思います。また、その時代時代に合った様々な取組をアップデートしていく、お願いしたいと思います。  そして、もう一つ、相談体制を充実させる、これも大変重要、大きな役割であります。  様々な人権に関する相談窓口を置き、人権相談員が一般的な情報提供や助言、専門相談窓口や救済機関への案内を行うとともに、法的な解釈や助言が必要と考えられる場合には、本人の意思を確認し、弁護士による法律相談を実施すると、その役割を担う人権相談員のスキルアップ研修などを実施すると、新年度予算などでも今回提案をされてございました。非常にこちらも大切なことと存じます。  今回お聞きしたいのは、もう一つの大きな役割であります啓発、周知の部分です。広報と言ってもいいかもしれません。幾らすばらしい理念に基づいて制定された条例でも、それが広く県民の皆様に知れ渡っていなければ、そんなもったいないことはありません。  愛知県も条例制定の際には、県の取組として啓発の推進を掲げられ、人権教育・啓発に関する愛知県行動計画に基づきまして、計画的に行動をし、人権に関する学習機会の確保や、人権に関する広報、情報提供を積極的に行うことも明記をされております。しっかりと啓発を進めていくことが極めて重要であると考えます。  そこで伺います。  本年度、愛知県人権尊重の社会づくり条例の周知、普及啓発のためにどのような広報啓発活動を行い、成果はどのようであったのかお聞かせください。また、本年度の成果を踏まえて、新年度、来年度は普及啓発についてどのような取組を行うのかお伺いをしたいと思います。  次に、インターネットモニタリングについてもお伺いします。  インターネット上での発信などでは、様々な誹謗中傷は後を絶たず、ある種やりたい放題、言いたい放題の状況にもなっている事態があります。  そんな中、県は、一昨年、かねてからの懸念であったこうしたインターネット上の人権侵害に対する不当な書き込み等をモニタリングする施策が提案をされて、本年度も継続して行われておりますと。このことに関しては大変、率直に評価をしたいと思っております。  インターネット上には、こうしている今もなお、新型コロナウイルス感染症や、あるいは障害者の方々、外国人、あるいは被差別部落の問題など、人権を著しく侵害するような書き込みが行われており、社会問題化をしております。  県として、ぜひともこうした差別的書き込みに対し、適切なモニタリングを行い、こうした書き込みを行っている者に対して、あらゆる差別、偏見は許さないという毅然とした態度で引き続き臨んでいたきたいと思います。  そこで、このモニタリングを行っている対象といいましょうか、事象といいましょうか、県の人権教育・啓発に関する愛知県行動計画の中の言葉を使うのだとしたら、重要課題への対応といった表現かもしれません。そこには、女性、子供、高齢者、障害者、部落差別問題、外国人、感染症患者、犯罪被害者、インターネットによる人権侵害、まさに今このことについてお話をしておりますが、そしてまたホームレス、性的少数者、その他といった十二の重要課題への対応ということも愛知県は掲げられております。モニタリングを行っていく対象も時代とともに変化をしていくこともあるだろうと興味も持ちます。  そこでお伺いしたいと思います。  インターネットモニタリングのこれまでの実績と不適切な書き込みがあった場合の対応はどうであったのか、また、その書き込みや対応の実績、その傾向や課題についてどのようなものがあったのかお聞かせをいただきたいと思います。  加えて、来年度から性的少数者を新たにモニタリングの対象分野に加えるとお聞きをしておりますけれども、そこに至った経緯や県としての考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。  私は、一昨年にも、会派の代表質問としてもLGBTQ等性的少数者に対する県の考え方の質問をさせていただきました。その前後でも、度々取組についてお聞きをした経緯もございます。昨日は、自民党の田中議員も一般質問で取り上げられておりました。  現在、全国各地でこういった性的指向や性自認、SOGIですね。SOGI、性的指向や性自認、セクシュアルオリエンテーション・アンド・ジェンダーアイデンティティー、SOGIについての議論が進められておりますけれども、いわゆるこういった性的指向、性自認を理由とした差別は許されるものではありませんし、それによって不利益な取扱いを禁止していくといった大きな流れに対しては何ら異論を挟む余地はありませんし、反論を持たれる方はいらっしゃらないと確信をしております。  国においては、いわゆるLGBT法案がいまだに国会での成立に至っていない現状には、その事実に関し大変残念に思っておりますけれども、今後しっかりと議論をされ、差別の解消、理解増進が進んでいくような法整備も大いに期待をしているところであります。  愛知県においては、二〇一九年三月に改定をされました人権教育・啓発に関する愛知県行動計画の中において、新たに初めて性的少数者という項目が加わって、そこには、性的少数者に対する差別や偏見をなくし、正しい理解と認識を深めるために必要な施策を実施すると明記をされております。  また、二〇二一年三月に策定をされましたあいち男女共同参画プラン二〇二五の中には、最近では、LGBTなど、性的少数者について社会的認知が進みつつあり、これらの人々への理解がこれまで以上に求められている旨、そして、男女共同参画はもとより、人権の観点からも、誰もが自らのSOGIを尊重され、異なる価値観を認め合い、自分らしく生きることのできる社会とするため、性的少数者への理解促進に向けて取組を行っていきますと、大変すばらしいことが書いてございます。愛知県としても一層積極的な取組をお願いしたいと思います。  最後にお聞きをいたします。  先日、性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクションさんという団体が、県議会及び愛知県当局に要望書をお持ちになられました。その中に、性的少数者に対する人権意識の醸成、差別の根絶、理解の徹底など、県職員に対しての研修もしっかりと行ってほしい旨があったとお聞きしています。県職員に対しての研修について愛知県としてどのように進めていくのかお聞かせをいただきたいと思います。  以上、御答弁願います。 14: ◯県民文化局長伊藤正樹君) 人権が尊重される社会づくりに向けた取組についてのお尋ねのうち、まず、愛知県人権尊重の社会づくり条例の周知、普及啓発のための取組についてお答えをします。  本県では、今年度、条例の制定に合わせて、啓発ポスターや冊子による周知に努めるとともに、SNSでの誹謗中傷により最愛の娘さんを亡くされ、その後の活動が侮辱罪の厳罰化など刑法の見直しにつながったことでも知られる木村響子さんを講師に招いた啓発イベントや、交通広告等の広報キャンペーンなどを重点的に実施いたしました。  啓発イベントの参加者からは、人権尊重の大切さを再認識した、自分にできることからやっていきたいなどの声をいただくとともに、九六%の方から人権を尊重していくきっかけとなったとの評価をいただきました。また、啓発ポスターを用いたインターネット広告では、三百万回以上の視聴があるなど、一定の成果を上げることができました。
     来年度は、条例の普及啓発と県民の皆様の人権課題に対する御意見を把握するため、企業、大学、NPO等と連携して、各種人権課題をテーマとしたワークショップを県内四地域で行う人権啓発キャラバンを実施いたします。これにより、条例の内容について県民の皆様により一層理解を深めていただき、条例の実効性をさらに高めてまいりたいと考えております。  次に、インターネットモニタリング事業についてお答えします。  今年度は、新型コロナウイルス感染症、部落差別、外国人、障害者の四つの人権課題を対象に、インターネットモニタリング事業を実施し、二月末までに五百九件の書き込みを把握しております。このうち、差別を助長する悪質で違法性の高い二十八件について、人権擁護機関である名古屋法務局に削除要請を行いました。  書き込みの内容を見ますと、明らかに違法性があるとまでは言えないものの、誹謗中傷等悪質と考えられる書き込みが多数見られる結果となっており、対象分野としましては、外国人に関する書き込みが全体の六八%と最も多くなっております。  こうした書き込みは、発信者の匿名性や情報発信の簡易性といったインターネット上の特性を悪用して安易に行われているものがほとんどであると考えられることから、悪質な書き込みの防止に向け、さらなる啓発が必要と考えております。  こうした中、現在、国において性的少数者の理解増進のための法律の整備に向けて調整が進められるなど、性的少数者に対する社会的関心が高まってきており、それに伴い、インターネット上で差別を助長する書き込みの増加も懸念がされます。  このため、来年度は、これまでの四つの対象分野に新たに性的少数者を追加して、さらなる差別的な書き込みの実態把握に努め、今後の人権教育、啓発に活用してまいります。  最後に、性的少数者に関する県職員に対する人権意識の醸成等についてであります。  県職員に対しましては、新規採用職員をはじめ、各階層を対象とした研修の中で人権教育、啓発を行っております。また、県や市町村職員を対象とした人権啓発指導者研修会も開催をしており、その中で性的少数者への理解増進を図っております。  こうした取組に加え、今年度は、新たに性の多様性に係る庁内連絡会議を開催し、県が実施する事務事業における性の多様性に対する配慮について検討し、全庁的な認識の共有を図っております。  さらに、現在、県職員が性の多様性についての認識を深めることができるよう、ハンドブックを作成しておりまして、来年度はこのハンドブックを使った職員研修を行うことにより、より一層理解の増進に努めるとともに、県のウェブページで公開することにより県職員以外の方にも広く活用していただけるように働きかけてまいります。  県職員は、全体の奉仕者である公務員としての自覚を持ち、人権問題を正しく理解し、人権尊重の視点に立って業務を遂行することが必要であります。引き続き、職員の人権意識の向上を図るとともに、不当な差別をはじめとしたあらゆる人権に関する課題の解消に向けた様々な取組を行うことにより多様性を認め合う、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくりを推進してまいります。 15: ◯三十六番(河合洋介君) 御答弁どうもありがとうございます。大変局長からすばらしいというか力強い御答弁をいただいて、大変心強く思っております。  モニタリングに関して新たに性的少数者を加えていくなんていうのは、時宜に合った大変的確な施策であるというふうに私も考えておりますし、やはり国等々で大きな議論が巻き起こってきますと、それに関連して差別を助長するような書き込み等も増えてくるんじゃないかという予想は私も思っておりますので、ぜひまた目を光らせていただきたいなというふうに思います。  一点要望は、周知啓発に関してと、研修に関しても一部あると思いますが、少し要望させていただければと思いますけれども、たくさんいろんなアンケート調査とかいろいろ結果を見ますと、LGBTQも含めてですけれども、人権意識の醸成というのは、割と若者向けとか大学生に対しての啓発をお願いしますとかよくあるんですけれども、実は結果だけ見ると若い人のほうが理解が進んでいるというのは明らかなんですね。なのに、若者向け、学生向けキャラバンとかに力をすごく入れているという現象があります。  ちょっと申し上げにくいことかもしれませんが、正直申し上げて、高齢者の方々のほうが非常に人権意識が低いと言ってしまうと大変語弊があるかと思いますけれども、やっぱり理解がまだまだ時代に合わせたものに変化をしていないという現象、あると思います。思い切って、例えば高齢者向けの研修を開催するとか、あるいは、先ほど申し上げた団体からの要望には、性的少数者の当事者の話を聞く研修会をやってくださいという内容でもあったやに聞いております。よくお聞きするのは、自分の息子さんたちの世代や自分のお孫さんたちの世代が実際にそういう対象者であったと、それを聞いて、やっと初めて社会が、見え方が変わったなんていう当事者の、あるいは当事者の御家族の方々のお話ってよく聞きますので、当事者の方々のお話を聞くような機会というのもぜひつくっていただきたいなというふうに思います。  あわせて、実は、先ほど県職員に向けたとありましたが、実は議員に向けた研修もやれというふうなことを各会派にもお持ちいただいておると思いますので、今回、我々も改選期を迎えて、新たに議会を構成するメンバーに私も何とか頑張ってなりたいとは思いますけれども、ぜひ我々議会もしっかりとこうした理解増進、先ほど県職員さん向けにハンドブックを作られると、外部の人々もぜひ活用してくださいなんて話もありましたので、我々、私自身もしっかりそのハンドブックを読んで、しっかり勉強させていただきたいと思いますし、せっかく昨年いい条例を制定して、これからブラッシュアップをしていくんですけれども、やっぱりその内容、理念、魂を県民の皆様に広く知っていただく、こういう周知の活動ってとても大切だと思いますので、ぜひとも引き続きお力をまたいただければなというふうに思いますので、よろしくお願いします。  以上で発言を閉じます。ありがとうございました。 16: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  日比たけまさ議員。 17: ◯三十七番(日比たけまさ君) 歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費のうち、困難な問題を抱える女性支援基本計画策定費について伺います。  今議会に提案された令和五年度当初予算は、十五の柱に沿って整理され、大村知事による提案説明では、愛知のこれからを形づくる極めて重要な事業が次々と紹介されました。  こうした中、生活困窮、性暴力、性犯罪被害、家庭関係破綻など、複雑化、多様化する困難な問題を抱える女性を支援するための基本計画を策定という文言を聞いたとき、私はあるNPO法人の存在が頭に浮かびました。  一人でたくさんの不安と向き合うシングルマザーに安心できる快適な住まいと助け合いのつながりを名古屋で届けますを合言葉に活動を展開するNPO法人リブクオリティ・ハブには困難な問題を抱える女性から毎日様々なSOSが飛び込みます。  離婚前のシングルマザーAさん、彼女は、夫のDV被害に耐えられず、五歳と三歳の子供を抱え、知人の一DKの部屋に避難したそうです。しかし、銀行口座が夫の名義のため貯金がない状態である一方、夫に情報が漏れることを恐れ、様々な申請にも住所が書けず、働き先も住まいも探せないそうです。  また、被虐待履歴のあるシングルマザーBさんは、一歳の子を抱えて離婚、親から虐待被害経験があるため、親族とは疎遠になっており、自分が一人で育てなきゃと懸命に仕事を探しました。そのかいあって何とか仕事は見つかったものの、ビジネスホテル暮らしをしているそうです。貯金ができないし、仕事を辞めたら明日寝る場所もないという状況です。  そして、外国籍のシングルマザーCさんは、夫からのDVを受け、知人の家に避難しています。しかし、日本語は片言しか話せず、日本で仕事をしたこともありません。母国に帰りたいという思いがあるものの、子供は日本国籍で母国語が話せないことから、日本で育てるしかないと考えているそうです。  こうした母子が陥る負のスパイラルは、住まいを起点に始まります。離婚や避難の直後の母子家庭の中には、住まいがないという状況が見られます。住まいがないとどうなるか。まず、多くの行政手続が取れません。例えば、保育園の転園や子育て関連手当の受け取りもできません。そして、行政手続ができないと仕事探しもできません。履歴書に書く住所がないからです。さらに、仕事に就けなければお金が稼げませんので、いつまでも住まいが得られないという具合で、負のスパイラルに陥るのです。住まいに困る母子家庭の方は、名古屋で年間三百五十組近く出るそうです。  もちろん、公営住宅の優遇、母子生活支援施設の設置、運営、一時保護施設の整備等、行政も各方面で支援を展開しているものの、期間に縛られず自立を後押しできる住まいの提供という観点に立つと、行政のみの支援では難しいのが現状です。  具体的には、一時保護施設に入ったが、その後の住む先を見つけることができず、滞在できる期限が迫っている。DVにより避難したが住む先がない。離婚が成立しておらず、母子福祉資金等、母子向けの経済支援などが受けられず引っ越し代を確保できない。母子生活支援施設に滞在しているが、働き先が遠く、育児と仕事の両立ができないといった悲痛な叫びが聞かれます。  このような背景を踏まえ、セーフティネット住宅政策など、民間の住宅を含めた施策も展開されていますが、仮に住まいを見つけられたとしても、これだけで問題の解決とはなりません。精神的なサポートや病院や学校への接続、就労支援、地域とのつながりづくり、外国人支援など、様々な機関とつながってやっと自立に向けた道筋が見えます。これらを行政が全て継続的に行っていくことは難しく、民間との連携が重要であると考えます。  こうした中、リブクオリティ・ハブでは、一般賃貸住宅を取得し、市場家賃よりも安い価格でシングルマザーに提供しています。物件を名古屋市内の都市部にすることで、就労先を見つけやすく、育児と仕事の両立が実現しやすい環境にしているそうです。そして、住まいを見つけた後の生活支援として、居住者の希望や困り事に合った支援をコーディネートします。連携している主体は、行政、NPO、病院、弁護士、企業、地域住民などなど五十を超えます。住まいを軸に関係性を構築しているため、継続的な見守りが可能であり、新たな課題が出た際には、早期に地域資源につなぐことができるそうです。こうして精神的・身体的DVなど深刻な状況に陥ったシングルマザー、そして子供は、様々な地域資源と関わりを持つことで、精神的な回復、就労の実現等、自立に向けた歩みを一歩一歩と進めていきます。  ここまでシングルマザーの困窮について触れてきましたが、女性をめぐる問題は、生活困窮、性暴力、性犯罪被害、家庭関係破綻など、複雑化、多様化、複合化してきていると言われます。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、非正規職の離職やDV、自殺者数の増加など、女性の生活や生命に大きな影響をもたらしています。  こうした中、問題を抱える女性を支援するための基本計画を策定するという今回の提案は、極めて重要な取組です。  そこで、二点伺います。  初めに、来年度計画を策定するに至った背景について伺います。  次に、当事者の声をどのように計画に反映させるつもりか、また、実効性のある計画にするためには、市町村や民間団体との連携が大変重要になると考えますが、県の御所見を伺います。 18: ◯福祉局長橋本礼子君) 困難な問題を抱える女性支援基本計画についてお答えいたします。  女性が女性であることにより、性暴力や性的搾取等の被害に遭遇しやすい状況にあることや、予期せぬ妊娠等の女性特有の問題が存在すること、不安定な就労状況や経済的困窮といった背景を踏まえて、自立に向けた支援を包括的に提供する体制を整備するため、昨年五月に困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立いたしております。  この法律におきまして、国や地方公共団体の責務が明記されておりまして、都道府県は、国が今年度中に策定予定の基本方針に則しまして、施策の実施に関する基本的な計画を定めることとされております。来年四月の法施行に向けまして、県計画の策定を進めていく予定にしておるところでございます。  次に、当事者等の声の反映や市町村、民間団体との連携についてでございます。  計画の策定に当たりましては、女性支援に詳しい学識経験者や関係行政機関の代表者のほか、当事者に寄り添い支援を行っている民間の施設や団体の皆様を構成員といたします検討会議を設置し、意見を集約するとともに、実際に問題を抱えて困っていらっしゃる女性自身にヒアリングを実施したいと考えております。  また、女性に寄り添った支援を実施するためには、最も身近な存在でございます市町村や特色ある支援を行っている民間団体との連携が、議員お示しのとおり、非常に重要であると認識しておりますので、それぞれの主体が担う役割や機能を生かして、より効果的な施策を展開したいと考えております。 19: ◯三十七番(日比たけまさ君) 御答弁いただきましてありがとうございました。  日本のジェンダーギャップ指数はG7で最下位、世界全体で百十六位と後れを取っています。とりわけ経済分野は顕著で、同一労働下の賃金格差や収入格差、そして雇用格差があります。コロナの影響も直結し、失職した多くは販売やサービス業などの非正規雇用の女性です。そして、シングルマザーの二人に一人は非正規雇用であり、その影響は子供の教育機会にまで及びます。コロナ禍で窮状や家庭内暴力などの問題を抱えたままの女性が増加しています。  こうした状況も含め、女性の福祉や人権の尊重が掲げられた今回の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行の意義は極めて重要です。そして、実効性のある施策を展開するためにも、今回の基本計画には大きな期待を寄せ、以下、要望します。  まず、女性支援センターや女性相談支援員、女性自立支援施設といった支援機関、民間団体、当事者の意見を十分に聞き取っていただきたいと思います。  また、法では、当事者を中心に、関係機関が民間団体などと連携し支援を行う仕掛けとして、支援調整会議を定めました。地方公共団体は単独または共同で設置できますので、ぜひ制度化をお願いします。  そして、今回の質問では民間支援機関に焦点を当てましたが、これまで公的機関として現場を支えてきた女性支援センター及び女性相談支援員の充実は不可欠です。配置、育成、処遇改善などへの取組をお願いします。  あわせて、困難を抱える女性の支援を行政のみで行うことは難しいと思いますので、民間団体への支援充実に努めていただきますようお願いします。  いろいろ申し述べましたが、現場の声をしっかり踏まえた議論の展開と関連予算の充実をお願いして質問を閉じます。ありがとうございました。 20: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  加藤貴志議員。 21: ◯十一番(加藤貴志君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費第四目児童福祉施設費のうち、社会的養護自立支援事業費について質問させていただきます。  令和四年度九月議会一般質問において、ケアリーバー、いわゆる社会的養護経験者の支援の充実について質問をいたしました。  ケアリーバーの就労や生活、進学をめぐる環境は厳しいものがあり、当事者が行き詰まった際、頼れる施設や相談者などとのつながりが希薄に、あるいは途絶えているというようなケースも散見し、行政による支援の拡充が求められているという趣旨の質問内容でした。特に、施設退所後、あるいは入所中から退所後のことを考えて、本人が自立できるようなサポート体制をどのように行っているかということが重要です。  質問への答弁として、県からは、相談支援体制の充実をはじめ、ケアリーバーに寄り添った支援策を検討していくとの回答がありました。  そこでお聞きしますが、県は、来年度、ケアリーバーの相談支援体制をどのように充実させていくのかをお伺いします。  また、就職か進学かが主な人生の選択肢となる中、親元で育った子供たちに比べて割合は少ないものの、進学を選ぶ子供たちもいます。施設に入所をしている子供が大学へ進学する場合、具体的にどのような支援が行われているのかお伺いいたします。 22: ◯福祉局長橋本礼子君) ケアリーバーへの相談支援体制についてお答えいたします。  本県では、就職や進学などにより児童養護施設等を離れる子供、いわゆるケアリーバーへの支援のため、尾張福祉相談センターに支援コーディネーター及び生活相談支援担当職員を配置し、退所前から施設職員と連携して、一人で生活していくための基本的なノウハウを学んでいただくとともに、退所後の生活相談に応じております。  来年四月には児童福祉法が改正され、ケアリーバーの自立支援について、これまで原則二十二歳までとされてきた年齢要件が緩和されます。こうした動きを見据え、よりきめ細かな相談支援につなげられるよう、来年度から西三河福祉相談センターにも支援コーディネーター等を配置し、尾張と三河の二拠点体制として相談支援の充実を図ってまいります。  次に、大学進学への支援についてでございます。  進学希望者に対しましては、県が設置しております子どもが輝く未来基金を活用して、オープンキャンパスに参加する交通費や大学の受験料、入学準備金を支給して進学を後押ししております。進学に際し、本人が一人暮らしを希望する場合、引っ越し代や家具、家電の購入費を支給するほか、家賃や生活費の無利子貸付けも行っておりまして、この貸付金につきましては、大学卒業後、五年間就業を継続した場合、返済を免除しております。  なお、一人暮らしに不安を抱え、本人が希望される場合は、二十二歳まで引き続き施設等で暮らすことができるよう、生活費等を施設に支給しているところでございます。  県といたしましては、施設から大学へ進学した子供たちが安定した暮らしを送ることができるよう、引き続き支援に取り組んでまいります。 23: ◯十一番(加藤貴志君) 一点要望させていただきます。  えてしてケアリーバーは家庭に複雑な事情を抱えている場合も少なくないと聞きます。仕事や学業、居住での困り事や壁にぶち当たった場合でも親を頼れないケースもあり、そのときは出身施設がアフターケアを担い、施設職員の役割は依然として重要であります。  また、自立支援という点では、おのおのが生活力を身につけることが非常に大切です。そのため、施設内にいる時点から退所後のことを考えたサポートの意味合いも大きくなってきます。  今後も当事者の困り事をしっかりと把握し、子供たちが社会で生き抜けるような寄り添った支援体制の構築がされることを要望し、質問を終わります。 24: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  鈴木純議員。 25: ◯七十五番(鈴木純君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第四項高齢福祉費第一目高齢福祉総務費の中から、インディペンデントエイジング二〇二三開催費補助金、予算額千七百万円についてお伺いいたします。  インディペンデントエイジング二〇二三は、知事が提案説明要旨の中で述べられた、本年十月にアイチ・スカイ・エキスポで開催される、高齢者の自立をテーマとした国際的なイベントであります。  本県は、あいちオレンジタウン構想に基づき、大府市に所在する国立長寿医療研究センターを中核とした産学官連携による共同研究や認知症に係るスタートアップ等と研究機関の連携支援に取り組んでいますが、新たな取組として、デジタル技術等を活用して県民の健康寿命延伸と生活の質、クオリティー・オブ・ライフ向上に貢献する各種サービス、ソリューションの創出を目指すあいちデジタルヘルスプロジェクトを立ち上げているのは御案内のとおりであります。  国立長寿医療研究センターには、このほか本県の健康福祉行政に多大な御協力をいただいておりますが、今回のエキサイティングなイベントの会長を務められるのが、国立長寿医療研究センターの理事長である荒井秀典先生であります。  イベントのホームページを意訳させていただきますと、世界中で平均余命が延びるにつれて、全ての年齢で質の高い生活を追求することが基本的かつ関連性のあるものになるとし、世界は市場の高齢化という新たな課題に目覚め始めており、高齢者はますます新しく強力な消費者クラスとして認識されているとのことであります。そして、社会のこの進化は、私たちの認識の変化を必要とし、高齢者が彼らの権利を十分に享受することを可能にする新しい社会パラダイムと、私たちが年を取っても健康で自立した生活を維持するための新しい支援システムが必要とうたい、インディペンデントエイジングでは、増加する独立高齢化人口のための革新的なソリューションとテクノロジーを提示することを目的としているとしております。  愛知県の新年度一般会計当初予算の扶助費は三千二百九十二億円となっています。今年度に対し後期高齢者医療費負担金や介護給付負担金などで六・二%、百九十一億円の増と新年度はなっております。また、二〇一三年度の一般会計当初予算の扶助費は二千二百八十億円で、この十年間で四八・八%、千十二億円もの増となっております。  県民一人一人のためにも健康長寿を実現することは大変重要であり、行政の責務でもあります。財政の面でも増え続ける扶助費への対応が必要であることは論を待ちませんし、サービスを提供する側にとって、医療、福祉は魅力的な分野でもあります。  我が国では、急速に高齢化率が上昇する中、生活習慣病の予防や健康管理に役立つサービスの活性化、活用によって国民の健康寿命を延伸し、そうした元気な高齢者の方に向けた多様な健康関連サービス等の創出によって地域経済の活性化を図るという施策が進められております。経済産業省によれば、こうした公的保険外の健康関連サービス産業の市場規模は、二〇一六年の約二十五兆円から、二〇二五年には約三十三兆円になると推計されております。  高齢化社会への対応は世界各国、特に先進国において喫緊の課題であり、その先頭を走っているのが我が日本であります。  愛知県においては、統計上、老人福祉・介護事業に分類される企業等が約三千八百あるとのことですが、ナショナルセンターである国立長寿医療研究センターがある本県において、インディペンデントエイジングのイベントが開催されることは大変有意義であると考えます。関係企業などの皆さんはもちろんのこと、広く県民の皆様にも御来場いただきたいと思います。  また、今回のイベントに関しては、昨年イスラエルを訪問したときに、ジャコーレのヨニー・ゴラン氏からイスラエルスタートアップについてレクチャーを受けた後、ケネスグループのCEO、ダン・リブリン氏から、二〇二三年十月にエイジングの高齢社会に貢献するテクノロジーというイベントを計画していると伺いました。ケネスグループは今回のイベントの実行委員会のメンバーであり、革新的なソリューションを必要とする高齢化という課題にスタートアップという観点からも大いに期待しているところであります。  そこでお尋ねします。  インディペンデントエイジング二〇二三の概要を分かりやすくお示し願います。また、本県が支援を行う意義について福祉局にお伺いをいたします。 26: ◯福祉局長橋本礼子君) インディペンデントエイジングは国立長寿医療研究センターを中心といたしました実行委員会が主催する国際的なイベントでございまして、本年十月十三日から十五日までの三日間、アイチ・スカイ・エキスポにおいて開催される予定となっております。高齢者の自立をテーマに、産学官が一体となって医療、福祉等に関する最新の知識や技術を発信し交流することを目的とするもので、具体的には、セミナーと産業展示会により構成されております。対象者としては、医療福祉関係者や企業だけでなく、広く一般の方々を含め、国内外から二千人以上の参加が見込まれております。  メイン主催者であります国立長寿医療研究センターは、本県が二〇一七年九月に策定いたしましたあいちオレンジタウン構想の推進の中核的な役割を担う施設でございまして、認知症予防プログラムの普及や認知機能の低下リスクを判定する手法の開発など、県と共同して取り組んでいるところでございます。  また、県が財政支援を行い、昨年五月に開院した新たな診療棟では、認知症に関する診断・治療方法や高齢者向けの生活支援ロボットの開発など、先進的な研究が展開されております。  こうした研究の成果をはじめ、最先端の知識や技術が、今回のイベントを通じまして、愛知から国内外に広く発信されることは、本県としても大変意義があると考えておりまして、開催を支援してまいりたいと考えているところでございます。 27: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  高木ひろし議員。 28: ◯九十二番(高木ひろし君) 私からは二項目質問させていただきたいと思います。  まず最初は、歳出第二款総務企画費第一項政策企画費について、ジブリパークの整備であります。  県政百五十周年記念事業のうち、象徴的で最も人気があるのは、昨年十一月、愛・地球博記念公園の中にオープンしたジブリパークであります。国内外から高い評価のあるスタジオジブリの作品の世界を実際に体感できる、他に類を見ないテーマパークとして、前評判にたがわぬ人気を博しているようであります。その延長線上に、二〇二三年度には、いよいよもののけの里と魔女の谷という二エリアが加わり、いよいよ全面開園を迎えることになります。  今、私はテーマパークと申し上げましたが、実は、スタジオジブリの宮崎吾朗監督によりますと、これはテーマパークではないというふうに説明をされております。その説明によれば、ファンタジーが現実世界にはみ出してきているのが従来のテーマパークであったようだが、ジブリとしては現実世界に立脚して描かれているジブリ作品の本物感、本物を体感できるということにあくまでこだわるということが特徴だということであります。  その事例として特徴的なものは、となりのトトロに登場したサツキとメイの家であります。昭和三十年代の建物を昭和初期の工法と材料で大工さんらが忠実に再現したこのサツキとメイの家が愛・地球博の中で実現し、これが好評を博して、その後も毎年十万人以上の方がここに訪れ喜んでいただいているということが、今回のジブリパークへの展開の原点だったと宮崎吾朗監督も述べております。  一方、県がスタジオジブリとの間で合意したジブリパーク整備の基本方針によれば、一つ、人、生き物、地球に対する愛という二〇〇五年愛知万博の理念と成果の継承、当然であります。二番目として、スタジオジブリの作品の世界観を愛・地球博記念公園の中の公園施設として整備する。そして、三番目としては、多様な利用者が共に楽しめる公園づくりというような形で掲げております。当然のことではありますけれども、大人も子供も、障害のある人もない人も、当然広く国内外から多くの来園者に楽しんでいただけることを重要視したものであります。  この基本方針にのっとって、施設整備を行う県と管理運営会社として設立された株式会社ジブリパークは、設計段階からユニバーサルデザインに配慮したものとするため、障害者団体などとのヒアリングを重ねてきていると聞いております。  しかし、実際には、本物へのこだわりということとバリアフリーとの両立というのは、なかなか容易ではないと思います。車椅子ユーザーやベビーカーでのフリーアクセスが完全にパーク内で実現するかという、なかなか困難であります。  それができない場合には、しかし、どのような代替手段、そして支援措置が可能なのか、きめ細かい工夫や時には大胆な決断も必要となるんであろうと思います。
     ここで質問です。  ユニバーサルデザインに配慮したジブリパークの整備について、これまでどのように取り組んでこられたのか、また、残る二エリアの開園に向け、現在どのような取組を進めていらっしゃるのか、具体例を挙げて御説明をいただきたいと思います。  二点目であります。  第四款福祉医療費第一項福祉総務費の中に地域生活定着支援センター事業というのがあります。  これには、私、かねてから関心を持っておりまして、刑務所の中にいる受刑者の約半数が何らかの障害者や高齢者、依存症系の病人であって、刑を終えて出所しても住むところや頼る人もなくて、再び窃盗や万引きなどの軽微な犯罪に手を染めて刑務所に舞い戻ってしまうという状態が蔓延しているんだと。こんな実態が、累犯障害者というタイトルの本が出版されたりして、大きな社会問題として注目されたのは今から二十年ほど前のことでありました。  知的障害者の場合、約七〇%が一年以内に再犯し刑務所に戻ってきてしまうと言われております。高齢受刑者の場合には、この二十年間に五倍に増えております。約七〇%が再入所者、つまり再犯者でありまして、そのうちの三割は実に十回以上服役しているというデータもあります。社会に行き場のない障害者や高齢者が、結果的に刑務所をついの住みかにしてしまっているのだという実態がここにあります。  こうした現状を変えようと始まったのが、地域生活定着支援事業であります。刑務所を出所した高齢者や障害者のうち、行く先や受皿のない人々に居場所や福祉サービスを提供し、支援して、人間らしく生活できるように支える、それによって再犯を防止していこうとするものであります。  国の方針を受けて、愛知県でも平成二十二年(二〇一〇年)から地域生活定着支援事業に取り組んでおりまして、地域生活定着支援センターを民間に委託して設立いたしまして、今年で十三年目を迎えております。  改めて、この事業に対する県の基本認識を伺うとともに、これまで民間に委託して運営してきた同センターの実績、そして現状、そして今後の課題についてもお答えをいただきたいと思います。 29: ◯政策企画局長(沼澤弘平君) ジブリパークの整備については、多様な利用者が共に楽しめる公園づくりを基本方針の一つに掲げており、そのためには、全ての方が安心して利用できるよう、様々な当事者の方の御意見をいただきながら整備を進めていくことが重要であると考えております。  昨年十一月に開園した三エリアの整備では、子育て世代や高齢者、障害者などの関係団体及び学識経験者の皆様の御意見を設計の段階で伺い、例えばエレベーターボタンの触感──押すときの感触でございますが──や音声対応などの仕様の充実、多機能トイレ内のベッド等設備の充実などの御意見や御要望をいただきまして、これらを反映して工事につなげてまいりました。  また、工事中においては、設計の段階でいただいた御意見の反映状況を御確認いただく現場確認会を開催し、当事者の視点から、例えば多機能トイレ内の大人用ベッドの収納方法をより使いやすくしてほしいなどの御意見をいただいてそれを取り入れるなど、工事完了間際まで施設の改善に取り組んでまいりました。  また、障害者団体の皆様には、開園前の昨年十月に、運営主体である株式会社ジブリパークのスタッフトレーニングにも御協力いただき、運営面で配慮すべき心構えなどの御助言をいただいたところであります。  来年度に開園する予定の残る二エリアにつきましても、三エリアと同様、設計段階から御意見を伺って整備を進めており、今月下旬には工事途中での現場確認会も開催し、工事完了まで皆様の御意見をできる限り反映していくこととしております。  県といたしましては、パーク整備における各段階において、関係団体や学識経験者の皆様の御意見を伺いながら、引き続き、残る二エリアの開園に向けて、しっかりと進めてまいります。 30: ◯福祉局長橋本礼子君) 地域生活定着支援センター事業についてお答えいたします。  この事業では、高齢または障害により福祉的な支援を必要とする刑務所等の矯正施設を退所あるいは退所予定の方に対して、その矯正施設や保護観察所等と連携、協働しつつ、入所中から退所後まで一貫した相談支援を民間事業者に委託して実施しております。  頼ることのできる家族がいない、帰る場所がない、貯金がないなど、生活に困窮し、自立した生活を営むことが困難な高齢者や障害者の方に対して、御本人の希望を丁寧にお聞きした上で、受入先施設のあっせん等の居住場所の確保、介護保険や障害福祉サービスの申請等を支援するもので、対象者の社会復帰や地域生活への定着に資する、大変有意義な事業であると認識しております。  二〇一〇年度の事業開始以降、二〇二一年度までの十二年間で五百四十三名の方の受入先施設を確保し、希望する地域で安心して暮らしていけるよう生活環境を整備するなど、成果を上げてまいりました。  しかしながら、センターが確保した居住場所で新たな生活を開始したとしても、残念ながら何らかの事由で再び罪を犯すに至る方もございました。  対象者は、障害の程度や認知症の有無、帰住先の家族の状況等が様々であるため、センターが個々の福祉ニーズを把握した上で地域の関係団体や機関と連携、協力してきめ細かな支援を継続することが必要であると考えております。そのため、矯正施設や市町村、社会福祉協議会、NPOなどの地域の支援団体と支援事例の情報共有を図る検討会の実施など、地域ネットワークの強化業務も事業メニューに加えているところでございます。  今後とも、刑務所出所者等の社会復帰や地域生活への定着が円滑に進むよう、地域生活定着支援センターの取組を着実に実施してまいります。 31: ◯九十二番(高木ひろし君) 御要望と再質問をさせていただきます。  まず、ジブリパークに関しては、これは言うまでもなく、県も十分承知していらっしゃるように、障害当事者の方、いろんな障害を持った当事者の方に設計段階から、そして実際の工事施工段階、そして運営の段階にまで実際に加わっていただいて、それで一緒に考えていく、これが非常に大事だということ、十分踏まえられていることがよく分かりました。  それでもって、当事者が、開園してからクレームが来て、それに対して改善が迫られるというようなことがないように、可能な改善は全部開園前にやっておく、当事者団体の方にも御納得いただいて開園が迎えられるようにお願いをしておきます。  それから、地域生活定着支援センターでございますけれども、現在、御答弁の中では、十二年間で五百四十三名の方に居場所や支援をさしあげたという、トータルの数字だけが御紹介ありましたけれども、これ、問題は中身なんですね。この方々が一体どういう施設、どういうサービスに対して、それぞれの実情に応じて結びつけることができたのか、そして、もっと重要なのは、この先には、例えば、いろいろと問題があると言われております無料定額宿泊所、簡易宿泊所のような、はっきり言うと貧困ビジネスに近いようなものがあったり、あるいはグループホームとはいっても、実際にはほとんどそこに閉じ込めておくような形の管理型のグループホームなどもあるやに聞いておりまして、こういった中では、いや、刑務所のほうがましだったというような、そんな声まで出てくるという実態が実際あります。  本当に地域生活が定着できるようになったのかどうか、犯罪を繰り返すサイクルから抜け出すことができたのかどうか、この実績をはかる上で最も重要な指標は再犯率であります。刑務所を出所してから一年以内にもう一度また犯罪を犯して刑務所に入ってしまうとか、あるいは三年以内に入ってしまうとか、これは、やはり愛知県も再犯防止推進計画なんていうのをつくっていますけれども、やっぱり数値目標を設けて取り組んでいくということによって、この中身がだんだんに、課題がレベルアップしていくんだと、私、こんなふうに思います。  再犯率の話は、県としては、これ、どんなふうにお考えなんでしょうか。これ、もしつかんでいらしたら、もしぜひ御披露いただきたいし、つかんでいないんであれば、ぜひこれはこの事業の成果をはかる上で重要な指標であるとして、ぜひお知らせいただきたいと思います。いかがでしょうか。 32: ◯福祉局長橋本礼子君) 再犯率についてお答えいたします。  過去の経緯につきましては、愛知県のデータがございませんので、国の統計資料にあります六十五歳以上の高齢者の方のデータを申し上げます。六十五歳以上の高齢者の方が出所後二年以内に刑務所に再び入所するという割合は、地域生活定着支援センター事業が開始されました二〇〇九年の前年、二〇〇八年においては二九・七%という数字がございますが、直近の五年ではおおむね二〇%前後で推移しているということで、一定の成果が上がっているものと認識しております。  なお、地域生活定着支援センターでは、出所後の居住場所を確保した後も受入先施設等を訪問し、フォローアップ支援として相談等を行っておりまして、その範囲内で愛知県のセンターが把握した事例を申し上げますと、二〇二一年度に実施したフォローアップ支援におきましては、支援対象者百十八名のうち十名の方が再犯に至ったという報告を受けているところでございます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 33: ◯四十番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 34: ◯副議長(佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 35: ◯副議長(佐藤一志君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 36: ◯議長(須崎かん君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  犬飼明佳議員。 37: ◯五十番(犬飼明佳君) 私からは二項目についてお伺いをいたします。  まず、歳出第三款県民環境費第五項環境対策費のうち、食品ロス削減に向けた取組についてお伺いをいたします。  食品ロスは、廃棄に伴う温室効果ガスの排出や貧困問題など、様々な観点から国際的な課題となっており、SDGsのターゲットの一つとして、二〇三〇年までに世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させることとされています。  国の発表によりますと、直近の二〇二〇年度の食品ロス推計量は、家庭での食べ残しなどの家庭系食品ロスが二百四十七万トン、飲食店や食品製造業などの事業系食品ロスが二百七十五万トンであり、全体では前年度比八%減の五百二十二万トンとなっています。この二〇二〇年度の食品ロス量は、国が推計を始めた二〇一二年度以降で最小の数字となっていますが、コロナ禍で控えられていた消費や外出が元に戻るにつれ、食品ロス量が増えてくる可能性も高く、二〇三〇年度までに食品ロスを年間四百八十九万トンとする国の目標を達成するためには、家庭や企業での息の長い取組が必要と感じております。  こうした中、本県の食品ロス削減の取組については、昨年二月の代表質問でも御答弁いただいたとおり、二〇二二年二月に策定された愛知県食品ロス削減推進計画に基づき、様々な取組を全庁を挙げて進められているものと承知をしております。  例えば、私が議会などで取り上げてきた子供向けの啓発事業として作成された環境学習プログラムについては、小学校の授業で利用した現場の先生方からも、子供たちが動画やゲームを使用して分かりやすく食料ロス問題を理解することができたといった声をお聞きしており、このように、子供が学校などで食品ロスについて学ぶことは各家庭でも話題に上がることがあるため、家族全員に食品ロス削減の意識が芽生える非常によい取組であると思います。  また、最近では、フードドライブの記事を新聞等で目にすることも多くなってきました。これまで県や市町村などが環境イベントで実施をしていましたが、例えば私の地元中川区の富田北プールでは年中受付をしていたり、民間では、大手コンビニエンスストアが家庭のいわゆるもったいない食品を店舗で受け付け、地域の子ども食堂等へ届けています。また、県内の金融機関においても、職員やお客さんに呼びかけ、家庭における食品ロスを各支店で集め、愛知県が認証した子ども食堂応援ステーションへ寄贈したケースもあります。食品ロスの取組が県民の皆様により身近になってきていると実感をいたします。  私は、県内の食品ロスのさらなる削減を図るためには、これまで以上に県民一人一人が食品に関する問題意識を持ち、日常生活の中でできることから行動に移してもらうことが重要であると考えます。それとともに、事業者においても、その業態に応じて食品の無駄のない利用や食品ロスの削減につながる商品開発等に取り組んでいただく必要があります。  そこでお尋ねいたします。  県民、事業者、行政が一体となって相乗効果を高めながら食品ロスの削減を進めていくことが重要であると考えますが、県は今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。  続いて、歳出第三款県民環境費第六項自然環境費のうち、自然環境保全事業費における湿地保全の取組についてお伺いいたします。  昨年十二月、生物多様性条約第十五回締約国会議(COP15)が、カナダ・モントリオールで開催され、二〇三〇年までの世界目標、昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択されました。  この世界目標では、二〇三〇年までのミッションとして、自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、反転させるための緊急の行動を取るとしています。二〇三〇年は持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの目標年でもありますが、SDGsの考え方においても自然資本は社会経済の基盤とされており、まさに生物多様性の保全は持続可能な社会を構築するために決して欠くことのできないものであります。  一方、人の活動、特に開発行為などの経済活動の影響によって世界で推計百万種の動植物が絶滅の危機に瀕しているとの報告もあり、生物多様性の保全は待ったなしの課題となっています。  愛知県は、日本一の産業集積を誇る大都市圏でありながら、海から山地まで多様な自然環境を有しています。特に、希少な動植物が多く確認される湿地が多数分布していることは大きな特色です。  一つ例を挙げます。豊田市の東海丘陵湧水湿地群はラムサール条約湿地であり、国際的にも貴重な湿地群です。ここには東海丘陵要素植物群として知られるミカワシオガマ、シラタマホシクサなど多くの植物があり、また、日本で最も小さいトンボと言われるハッチョウトンボやヒメタイコウチなど、多くの昆虫類も見ることができます。狭いエリア内に大変希少な動植物が生息、生育しております。こうした貴重な自然を守り、次の世代に継承していくことは、今を生きる我々の責務であると考えます。  そこで、二点お尋ねします。  県は、あいち生物多様性戦略二〇三〇の重点プロジェクトとして湿地の保全活動を推進することを掲げていますが、これまでどのような取組を行い、今後どのように進めていくのか伺います。  また、これまで、県は、地域本来の生態系を保全、再生する活動を九つの生態系ネットワーク協議会を設立して行ってきましたが、湿地の保全活動には人の手によるさらに手厚いサポートが必要になってくると考えます。  そこで、二点目の質問として、県は、湿地の保全活動に資する人材を今後どのように育成していくつもりかお伺いをいたします。 38: ◯環境局長(水野達也君) 初めに、食品ロス削減に向けた取組についてお答えします。  食品ロスを削減していくためには、県民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していくことが重要であります。  そのため、昨年二月に策定した愛知県食品ロス削減推進計画に基づき、本県が作成した小学校中・高学年向けの環境学習プログラムの実施や、食品ロス問題の専門家の講演等による啓発イベントの開催など、普及啓発活動に取り組んでいるところでございます。  また、昨年十一月に創設した食品ロス削減に積極的に取り組む企業、団体等を登録、紹介するあいち食品ロス削減パートナーシップ制度を活用し、事業者の方々の食品ロス削減の取組を後押しするほか、市町村による削減推進計画の策定やフードドライブ活動への支援などを行っております。  さらに、本年二月には、省エネや省資源につながる環境配慮行動に対して本県独自のポイントを発行するあいちエコアクション・ポイント事業を開始したところであり、その中で、食品ロス削減に係る飲食店での食べ残しゼロやフードバンク等への寄附に対しても、関係する事業者の協力を得ながらポイントを付与しております。  来年度は、こうしたこれまでの取組に加えて、家庭で排出される食品ロス量を把握し、減量にチャレンジしていただく県民参加型事業を実施するとともに、食品ロス削減に意欲的な先進事業者の取組を優良事例集として取りまとめ、広く周知してまいります。  引き続き、多くの県民、事業者の皆様に食品ロス削減の取組に積極的に参加いただけるよう、実施方法を工夫しながら食品ロスのさらなる削減を図ってまいります。  続いて、湿地の保全に関する取組についてお答えいたします。  県内には六百か所以上の湿地が確認されており、シデコブシやシラタマホシクサなど県のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種をはじめ、多くの動植物の生息・生育地として重要な役割を果たしています。  本県では、こうした湿地の重要性に鑑み、愛知県自然環境保全地域に指定している海上の森や東谷山において、湿地の草刈りや樹木の伐採などの保全作業を企業や保全活動団体と協働して行っているほか、あいち森と緑づくり税を活用して市民団体が行う湿地の保全活動に対する支援などを行っております。  これらの取組に加え、適切な保全管理がなされていないことにより消失のおそれがある湿地について、二〇三〇年度までに新たに十か所の保全活動を開始することを目標とした取組を進めております。  今年度は、専門家の助言を得ながら、保全管理がなされていない湿地のうち五十か所を抽出し、その規模や生育する湿地性植物などの概況調査を行うとともに、その中から優先的に保全活動を実施することが望ましい二十か所について、土地利用や所有権限の状況などの社会環境調査を行いました。このうち、とりわけ保全管理の重要性が高い湿地について、今年度中に保全計画案を取りまとめることとしております。  来年度は、この計画案に基づき、地域の保全活動団体や地元市町村と連携して保全体制を構築してまいります。そして、来年度以降は、他の湿地について順次保全計画案の作成と保全体制の構築を進めてまいります。  次に、湿地の保全活動に資する人材の育成についてであります。  本県では、これまで、技術的な支援を必要とする保全活動団体への専門家の派遣や、担い手不足に悩む保全活動団体と企業等とのマッチングなど、保全活動の活性化に取り組んでまいりました。  こうした中、新たな保全活動の導入や活動の継続、発展には、専門的な知識やノウハウを有する人材が不可欠であるため、今年度からあいち生物多様性保全担い手養成講座を開始したところでございます。来年度は、基礎的なプログラムに加え、今年度受講者のレベルアップを図るプログラムも実施し、保全活動のリーダーとなり得る人材の育成を進めてまいります。  また、今年度は、保全活動に関心のある学生等ユース世代に対し、長久手市内の二ノ池湿地や新城市内の長ノ山湿原などにおいて保全作業の体験の機会を提供するなど、次世代の担い手育成にも取り組んでおります。  こうした人材育成の取組を湿地の適切な保全につなげてまいります。 39: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  しまぶくろ朝太郎議員。 40: ◯十二番(しまぶくろ朝太郎君) 歳出第四款福祉医療費第三項児童家庭費のうち、児童相談センター管理運営事業費について伺います。  愛知県所管の児童相談センターの児童虐待相談対応件数は、二〇〇九年度から十年連続で過去最多を更新し、二〇二〇年度は前年度を僅かに下回りましたが、二〇二一年度は再び増加に転じ、六千五百八十八件と過去最多を更新しました。  愛知県においては、二〇一八年十二月に国において策定された児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づいて、着実に県所管の十か所の児童相談センターの体制強化、市町村の相談支援体制の整備に向けた支援、関係機関等の連携の推進等が進められてきたことを、令和二年、令和三年、令和四年二月議会における議案質疑、令和三年九月議会における一般質問で継続的に取り上げてきた際に、県当局から答弁を受けてきました。  しかしながら、そのような対策を進めてきたにもかかわらず、児童虐待については、児童相談所における児童虐待相談対応件数が年々増加しており、深刻な児童虐待事案も後を絶たないなど、対策を強化しているにもかかわらず、依然として深刻な社会問題となっております。  そのような状況の中、その対策として、国において、昨年十二月十五日に策定された新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランは、対象期間が令和五年度から令和八年度までで、全国で令和六年度までに児童福祉司を千六十人増員、令和八年度までに児童心理司を九百五十人増員することなどを目標に掲げています。  そうすると、これまでも計画的に人員を増員してきた愛知県において、二〇一六年から二〇二二年にかけて、児童福祉司が八十九人、児童心理司が七十三人の大幅な増員を行ってきており、二〇二三年も、児童福祉司が十四人、児童心理司が七人の増員を行うこととなっており、その後も計画的に増員を行うとなると、今後、全国的に人材獲得競争が起きてくることが予測されます。  先日、東三河児童相談センターの視察時に現場の声を伺った際も、専門職員の大幅な増員に対する留意点として、職務内容を理解した上で継続的に職務を続けられる人材の確保が課題である旨のお話がありました。  そこでお尋ねいたします。  愛知県は、来年度、具体的にどのように意欲ある人材の確保を進めていくのかお伺いいたします。 41: ◯福祉局長橋本礼子君) 児童相談所における職員の人材確保についてお答えいたします。  本県では、児童虐待相談の増加に対応するため、児童福祉司や児童心理司といった専門職員の大幅な増員を進めております。  その人材確保のため、これまでも、県内の福祉系学部を有する大学で直接学生に業務説明を実施したほか、児童相談所において大学生を対象とした一日職場体験を開催してまいりました。  また、今年度からは、学生向け就職支援サイトに採用案内や児童相談所の業務内容、先輩職員の声などを掲載するとともに、児童相談所におきまして五日間のインターンシップに二十六人の実習生を受け入れるなど、面接や家庭訪問など実際のお仕事を体験していただくような機会を設けております。  さらに、来年度は、こうした取組に加えまして、新たに大学生向けの合同企業説明会への出展、また、年齢制限を五十九歳まで緩和した職員採用試験の特別募集で即戦力として期待される人材を確保するため、社会人向けの転職サイトへの掲載や、転職希望者を対象とした合同企業説明会への出展など、人材確保に向けた取組を拡充してまいります。  県といたしましては、児童相談所で働くことの魅力ややりがいを感じていただき、意欲のある人材の確保に引き続き取り組んでまいります。 42: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  園山康男議員。
    43: ◯五十二番(園山康男君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第五項障害福祉費第一目障害福祉総務費のうち、障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する普及啓発について御質問をさせていただきます。  本県では、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、お互いに意思や感情を伝え合い、地域で安心して暮らすことができる共生社会を実現するため、二〇一六年十月に手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定し、この条例に基づき、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進を図っています。  障害の種別は、聴覚障害、視覚障害、肢体不自由、知的障害、精神障害など多種多様であり、例えば、聴覚障害を例にお話ししますと、同じ聴覚障害であっても、聾の方、中途失聴の方、難聴の方など、聞こえないあるいは聞こえにくい程度は様々です。また、主に聾の方は手話を言語として使われますが、中途失聴や難聴の方には手話を使えない人も多く、筆談や口話などでコミュニケーションを図るなど、障害の特性に応じてコミュニケーション手段も異なります。  日常生活や社会生活を営む上で、他者とのコミュニケーションは不可欠であり、障害のある方がその障害の特性に応じてコミュニケーション手段を選択し、利用できる環境づくりを進めていく必要があります。  本県では、条例制定以前から、手話通訳、要約筆記者、盲聾者向けの通訳・介助員といった意思疎通支援者の養成や派遣を行っており、条例制定後には、脳の損傷により言語機能が障害された失語症の方向けの意思疎通支援者の養成、派遣にも取り組んでいます。  こうした支援者による専門性の高い支援を必要なときに円滑に受けられる体制整備も大変重要でありますが、並行して、広く県民の皆様に障害の特性に応じたコミュニケーション手段を理解していただき、御自身でできる配慮に積極的に取り組んでいただくよう、啓発していくことが共生社会の実現につながるものと考えます。  条例の前文において、南海トラフ地震などの大規模災害発生時において、障害のある者の安全を確保するための措置を講ずる場合においても、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用が必要であるとの記述があり、災害発生時は円滑なコミュニケーションが命を守ることに直結することから、地域の防災活動においても理解促進が図られるよう取り組んでいくことも重要であります。  そこでお伺いをいたします。  障害の特性に応じたコミュニケーション手段において、どのように普及啓発を行っておられるのかお伺いをいたします。 44: ◯福祉局長橋本礼子君) 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発についてお答えいたします。  本県では、二〇一六年十月に手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定して以降、毎年度、手話や要約筆記、点字、音訳、文字盤といったコミュニケーション手段を県民の皆様に御理解いただくための取組を実施してまいりました。これまで、一般向け、子供向け、企業向けなど、年度ごとに対象を変えまして幅広く普及啓発のためのリーフレットを作成、配布したほか、実際にコミュニケーション手段を体験していただくセミナーを開催しております。  昨年九月に開催いたしましたセミナーでは、もっと身近に手話や点字でコミュニケーションをテーマといたしまして、ウェブでの視聴も含めまして、約三百五十名の方に御参加いただきました。参加者からは、障害のある方への接し方が分からなかったので大変参考になった、サポートの方法は障害によって異なることがよく分かったといった声が寄せられ、大変好評でございましたので、来年度は、さらに多くの方に御参加いただけるよう、定員を拡大して実施する予定としております。  さらに、県、市町村合同の総合防災訓練において、障害当事者や支援者団体と共にブースを出展いたしまして、避難時に必要な配慮の紹介でありますとか、防災に関連する手話の講習などを実施しているところでありまして、来年度もこうした取組を継続いたしまして、災害時に障害のある方に適切に避難情報等が伝わるよう、県民の皆様の理解促進に努めてまいります。  障害のある方が自らの意思や感情を円滑に伝え、地域で安心して暮らすことができるよう、今後も様々な機会を捉え、積極的に障害の特性に応じたコミュニケーション手段の普及啓発を図ってまいります。 45: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  柴田高伸議員。 46: ◯六十八番(柴田高伸君) 私からは、歳出第四款福祉医療費第六項保健医療費のうち、母子保健医療推進費に関して安心安全な妊娠・出産サポート事業についてお伺いをいたします。  今定例県議会でも何度か取り沙汰をされておりますけれども、我が国の少子化は深刻な状況にありまして、厚生労働省から発表された人口動態統計速報によれば、二〇二二年の出生数は初めて八十万人を割り込んで、七十九万九千七百二十八人であり、七年連続で過去最少となったということであります。この少子化の原因は、主に未婚化、晩婚化と、晩婚化による晩産化、少産化による有配偶出生率の低下の影響が大きいと言われています。  初めに、未婚化に関してですけれども、いわゆる生涯未婚率とは、五十歳時未婚率、つまり五十歳時の未婚割合のことを指し、四十五歳から四十九歳と五十歳から五十四歳の未婚率の平均値から算出をされることとなっています。二〇二二年に内閣府から発表された少子化社会対策白書によりますと、生涯未婚率は年々増加しており、例えば、五十年前の一九七〇年には、男性一・七%、女性三・三%だったのに対して、二〇二二年には、男性二八・三%、女性一七・八%まで増加しています。  なお、二〇二一年に実施された国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりますと、独身の男女のうち、いずれ結婚するつもりと答えた人の割合は、十八歳から三十四歳の男性で八一・四%、女性で八四・三%でありますけれども、前回調査から男女いずれも減少傾向にあります。  続いて、晩婚化に関してですけれども、平均初婚年齢は、長期的に見ますと、夫、妻ともに上昇を続けておりまして、二〇二一年の人口動態統計によりますと、夫が三十一・〇歳、妻が二十九・五歳であり、例えば三十五年前の一九八五年と比較をいたしますと、夫は二・八歳、妻は四・〇歳上昇しております。  加えて、初婚年齢の上昇に伴って、晩産化の傾向が現れているのが分かります。出生時の母親の平均年齢を出生順位別に見ますと、二〇二一年では、第一子が三十・九歳、第二子が三十二・八歳、第三子が三十四・〇歳であり、一九八五年と比較をいたしますと、第一子で四・二歳、第二子で三・七歳、第三子で二・六歳それぞれ上昇しておりまして、統計が取られ始めてから一貫して上がり続けています。  こうしたことを背景に、近年、不妊治療の件数も増加をしておりまして、公益社団法人日本産科婦人科学会によりますと、二〇二〇年に実施された不妊治療の体外受精で誕生した新生児は六万三百八十一人で、ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大で治療を控える人が多かった影響を考慮いたしますと、コロナ後はこの数が増えることが見込まれています。  なお、体外受精によって誕生した新生児は全新生児の約七%を占めますが、不妊治療が以前よりも普及してきているとはいえ、希望する人が誰でも安心して受けられる環境にいまだなっていないのが現状であります。  その要因としては、大きく分けて二つ、一つ目は経済的要因、二つ目は社会的要因という障害が存在していると考えられます。  まず、経済的要因については、治療費が高額であるということであり、この点については、二〇二二年四月からの不妊治療における保険適用の拡大によって一定の軽減がなされたものの、さらなる適用拡大のため継続的な見直しが求められます。  また、あるいは、不妊治療に関する費用は心配ないとしても、実際には、不妊治療と仕事との両立が難しいという社会的要因が大きな課題となっています。  なお、こうした課題を乗り越えながら不妊治療を試みたとしても、必ずしも妊娠率は高くないのが現実ということであります。  一般に、女性は年齢とともに妊娠のしやすさである妊よう性が低下するとされており、不妊、不育に関する知識を含む、プレコンセプションケア、すなわち将来の妊娠、出産を考えながら、若い世代が自分の生活や健康に向き合うことが重要と言えます。  その上で、自身の結婚、妊娠、出産、子育てに至るまでをデザインするための知識を得る教育を若い世代に講じる必要があると考えます。  そこでお伺いをいたします。  本県では、若い世代の男女に対し、妊娠や出産などに関して、身体の生殖機能の仕組みや正しい知識を学び、自らのライフプランを考えることができるよう、安心安全な妊娠・出産サポート事業に取り組んでいますけれども、その取組状況と課題、今後の方策について伺います。 47: ◯保健医療局長吉田宏君) 安心安全な妊娠・出産サポート事業についてでございます。  これからの時代を担う若い世代が、将来健やかな家庭を築き、子供を望む場合にも安心して妊娠、出産できることは大変重要でございます。  県では、高校生や大学生などが妊よう性など生殖機能の仕組みについて学べる健康教育を実施したり、啓発用のDVDやリーフレットを配布するなどし、妊娠、出産に関する正しい知識の普及啓発に取り組んでおりますが、さらに多くの若い世代への効果的な情報発信が課題だと捉えております。  そこで、多くの若者が集う成人式での情報発信や、県のホームページ、さらにはSNSを活用し、将来の妊娠に備えた健康管理や性に関する知識、相談窓口などの役立つ情報を気軽に入手できるよう取り組んでおります。  今後も、若い世代に対する正しい知識の普及啓発を一層強化してまいります。 48: ◯六十八番(柴田高伸君) それでは、要望をさせていただきます。  もとより、結婚、妊娠、出産は個人の自由な意思決定に基づくものでありまして、個々人の決定に特定の価値観を押しつけたり、あるいはプレッシャーを与えたりすることがあってはならないということは十分留意する必要があることは言うまでもありませんけれども、本県をはじめとする行政や企業、地域など、社会全体で結婚、そして不妊治療を含めて妊娠、出産、子育てへの正しい理解の促進を図るための取組を行いながら、若い世代の結婚、妊娠、出産の希望や子育てを応援する気運を高めていくことが重要であるというふうに考えます。  そこで、その推進役として本県の取組に期待するところでありますけれども、今回取り上げました安心安全な妊娠・出産サポート事業をはじめとして、結婚から妊娠、出産と、また、仕事との両立に至る様々な段階の課題に対して、本県が取り組んでいます各種サポート事業を複合的に連携して進めていただくことで、若い世代の希望の実現に実効ある取組としていただきますように要望いたしまして、発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。 49: ◯議長(須崎かん君) 次に、第一号議案令和五年度愛知県一般会計予算のうち、第一条中歳出第五款経済労働費から第七款建設費までの質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  朝日将貴議員。 50: ◯四番(朝日将貴君) 歳出第六款農林水産費第五項農業用水費第一目木曽川用水事業費のうち、木曽川用水受託事業についてお伺いをいたします。  二月二十二日の本会議開会に当たり、大村知事からの挨拶にもありましたように、現在、徳川家康公を主人公にした大河ドラマ、どうする家康が放送されております。最近はあまり見れませんが、私も大村知事同様、毎週楽しみにしている一人であります。  その家康公は、江戸幕府を開いた後、一六〇九年に木曽川の左岸側に御囲堤と呼ばれる約四十八キロメートルの堤防を現在の犬山市から弥富市にわたり築造させました。木曽川をはじめとする木曽三川では、御囲堤や宝暦治水、明治改修などの治水工事が行われており、私の地元弥富市の小学四年生は、愛西市にある木曽三川公園に行き、歴史的な治水工事を行った先人らの水との戦いの様子を学ぶ校外学習を行っております。  まさに、水との戦いであった治水工事は、尾張地方の洪水被害の防止に大きな効果を発揮しましたが、一方で、御囲堤などは、地域の用水事情を一変させることになりました。木曽川から分かれて流れていた派川が堤防により締め切られたため、派川から取水していた多くの水田が水源を失うことになりました。海部地域の貴重な水源の一つであった佐屋川も、明治時代の大改修により締め切られました。その後、佐屋川用水が開削されますが、水路のほとんどは用水と排水の兼用であったため、水質悪化や排水不良が問題となりました。  また、大正時代に入ると、木曽川上流で発電用のダム開発が行われ、木曽川への土砂の供給が減ったことにより、河床が低下し、木曽川からの取水が困難となりました。  さらに、昭和の高度経済成長期に、地下水採取による地盤沈下が急速に進行したことで、受益農地では塩害が発生するなどの問題が生じました。  このため、一九六四年に当時の農林省が、農業用水の安定取水を願う地域住民の強い要望を受け、木曽川用水事業に着手し、木曽川大堰や海部幹線水路、支線水路をはじめとする施設が造成されました。  また、同時期に、支線水路から農地へ農業用水を送水する末端水路が整備され、一九七七年の木曽川用水の通水開始により、海部地域における不安定な用水事情はようやく解消をされました。  しかし、近年、新たな問題が発生しています。支線水路や末端水路には石綿セメント管が多用されている上に、築造後約五十年近く改修されていなかったことから、長年にわたる地盤沈下や老朽化に伴う漏水事故が多発し、適正な維持管理や配水操作に影響が生じております。  こうした中、土地改良区をはじめとする地元関係者の熱心な要望が実を結び、支線水路や揚水機場を改築する水資源機構営木曽川用水濃尾第二施設改築事業が着手される運びとなり、昨年五月二十二日、起工式典が盛大に開催され、また、水資源機構は弥富市の海部土地改良区会館の二階に木曽川用水総合管理所濃尾第二施設改築事業推進室を新たに設置し、事業が円滑に進むよう体制を整えております。  一方、当地域では、県が機構営事業に先駆けて、二〇〇六年度から末端水路の石綿セメント管除去対策に着手しているため、地元土地改良区から地域の事情に精通している県が、木曽川用水の建設当時と同じく、支線水路と末端水路を一体的に整備するよう強く要請しており、県は二〇二三年度から機構営事業の支線水路の工事の一部を受託して施行すると伺っております。  そこでお尋ねします。  木曽川用水受託事業を今後どのように進めていくのかをお伺いいたします。 51: ◯農林基盤局長(長田敦司君) 木曽川用水受託事業の今後の進め方についてお答えします。  水資源機構が今年度着手しました木曽川用水濃尾第二施設改築事業は、海部地域の三千十八ヘクタールの農地に農業用水を送水する支線水路と揚水機場を二〇三六年度までに改築するもので、総事業費は三百五十億円が見込まれている大規模かつ広域的な事業でございます。  さらに本地域では、議員お示しのとおり、二〇〇六年度から末端水路を改築する県営事業を実施しており、機構営事業と合わせた木曽川用水関連の総事業費は約一千億円にも及ぶと見込まれます。機構営事業と県営事業は密接に関係することから、これらを計画的かつ着実に進めるためには、水資源機構と県が連携して実施していくことが不可欠と考えております。  このため、木曽川用水関連の事業を効率的に行い、早期に効果を発現させるよう、機構営事業の支線水路、十七路線六十四キロメートルのうち、八路線二十キロメートルについては、県が水資源機構より受託して工事を施工することにいたしました。  なお、受託事業費は総額で七十七億円となり、工期は来年度から二〇三六年度までの十四年間を予定しております。このうち、来年度は、事業費四億円で、支線水路一・二キロメートルの改築に着手する予定であります。  また、木曽川用水受託事業並びに木曽川用水関連の県営事業を実施する海部農林水産事務所に木曽川用水課を新設しまして、水路整備に必要な人員を確保する予定でございます。  県といたしましては、水資源機構や地元との調整を緊密に行い、工事を円滑に進めることで、当地域の農業用水の安定供給を図ってまいります。 52: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  桜井秀樹議員。 53: ◯十六番(桜井秀樹君) 私からは、予算に関する説明書、二百三十二ページ、歳出第七款建設費第二項道路橋梁費のうち、名古屋高速道路公社出資金及び貸付金に関連して、大きくは三点について伺います。  一点目は、名古屋高速道路の都心アクセス事業についてであります。  二〇一八年三月に名古屋市が策定した名古屋駅周辺交通基盤整備方針では、名古屋駅周辺の交通基盤関連プロジェクトの推進を図るため、交通ネットワークの強化や、乗換え利便性の向上等を図るため、各交通施設について今後の整備内容を具体化する方向性を示したものであります。名古屋高速道路は、この方針に基づき、二〇二〇年十月に、新黄金及び新洲崎の出入口設置の事業認可を取得し、さらには、翌年二〇二一年十月には、栄出入口の設置と丸田町ジャンクションへの西渡り線及び南渡り線を追加する事業認可を取得し、都心アクセス事業に取り組んでいると理解をしております。  名古屋高速道路の設立団体である愛知県は、有料道路制度に基づきまして、二〇二〇年度より都心アクセス関連予算として、出資や貸付を行っており、来年度の県予算においては、出資金として九億三千万円、貸付金として二十一億七千万円を計上しているところであり、都心アクセス事業は、リニア中央新幹線の開業後における人流や物流の増加に対応し、本県の活性化に欠くことができない重要な事業であります。  そこで、名古屋高速道路の都心アクセス事業の進捗状況について伺います。  次に、中京圏の新たな高速道路料金導入後の交通状況について伺います。  中京圏は、日本の真ん中で交通の要衝に位置し、世界のモノづくり拠点として、次世代を見据えた自動車や航空機、ロボット等の製造業の集積が見られるなど、我が国で有数な大都市圏を形成しております。また、交通ネットワークについては、圏域内外を接続する高速道路網に加えて、東海道新幹線、中部国際空港、国際コンテナ戦略港湾である名古屋港といった交通の大動脈と拠点が集中しております。  このように、製造業の集積や交通インフラの集中等により、都市圏として潜在的に高いポテンシャルを有しますが、名古屋中心部等におきまして慢性的に渋滞が発生するなど、その高いポテンシャルを十分に生かし切れていない状況でありました。  このため、二〇一九年十二月に国土交通省が、中京圏の高速道路を賢く使うための料金体系に関する基本方針を取りまとめ、この基本方針を踏まえ、名古屋高速道路を含む中京圏の高速道路料金は、名古屋環状二号線の全線開通に合わせ、二〇二一年五月に中京圏の交通流動を最適化することを目指して、対距離制を基本とした新たな料金体制に移行いたしました。  また、昨年十月には、国土交通省より新たな高速道料金導入後の交通状況等が公表され、料金体系移行前後の交通状況の変化により、ネットワーク整備と相まって、高速道路がより賢く使われる効果が確認できたとされております。  しかしながら、本地域は名古屋都心部を発着とする交通が多く、時間帯によっては慢性的に渋滞が発生している区間もあり、物流や観光の交流促進の阻害となっていることから、今後も本地域の潜在的なポテンシャルを最大限に引き出し、日本経済を牽引する重要な役割を担っていくためには、交通の円滑化を図ることが必要であり、さらなる都心流入の分散化や環状道路への交通転換など、高速道路を効果的に活用していくことが重要であることは言うまでもありません。  そこで、中京圏の新たな高速道路料金導入後における名古屋高速の交通状況について伺います。  最後に、三点目といたしまして、中京圏の新しい高速道路料金について伺います。  二年前にも同様な趣旨の質問をさせていただきましたが、私自身、中京圏の新たな高速道路料金の導入について、改めてその問題に触れておきたいと思います。  料金算定を距離制の導入に改定をいたしました。距離制の導入に関しては、例えで申し上げますと、一キロごとに関所を設けることと同じで、目的地に到達することを遠ざけていると感じております。また、料金算定でも一キロ当たり二十四円を二十九円とされましたが、二十九円の根拠として、東京や大阪の大都市圏並みに合わせる、いわゆる都市近郊型料金とされました。しかし、ここ中京圏における自動車を利用した交通手段は、当時は六一%で、東京は二七%、京阪神は三一%と自動車の利用頻度は約二倍となっているにもかかわらず、キロ当たりの料金を自動車を利用していない東京や京阪神に合わせて、当時も今もそうですが、利用料金を上げることは、中京圏の特色から見ても違和感を覚えております。  さらに、中京圏における高速道路料金は、もはや携帯電話会社以上に競争原理が働かない公共料金と言っても過言ではない中、当時、料金値上げをする必要性に加え、今や形骸化しているとも言われております、単に数字を膨らませているだけの道路料金の多くを占める償還主義についてであります。  先日の新聞報道でも触れられましたが、政府は、全国の高速道路を最長二一一五年まで有料とする関連法改正案を閣議決定いたしました。見込んでいなかった老朽インフラの大規模補修が必要となり、道路公団民営化時に掲げた無料化の方針は事実上撤回となり、多くの国民も同様に受け止めたと感じております。  廃止に向けては国の許可を得るとされておりますが、名古屋高速道路の位置づけの捉え方、考え方の一つとして、名古屋高速道路の出資者は愛知県と名古屋市であり、国は出資者ではありません。しかも、国からの借入金は全体の四分の一であり、言い換えるなら、四分の三は地元からの調達であり、残りの四分の一を返還することを前提に、今こそ償還主義廃止の議論をすべきであると考えます。  例えば、県民の皆さんに、償還までの二十年余り、現在の高い料金を支払って利用するのか、もう一つは、恒久的に料金は徴収しますが、今よりも安い料金を支払って利用するのかという二つのアンケートを取ってみてはいかがでしょうか。私の感覚では、多くの県民の皆さんは後者、つまり何十年先になるのか分からなく、現実性が非常に乏しい高速道路無料化を待つのではなく、現状よりも安い料金体系を望むことを選択すると思います。  先ほども申し上げましたが、国が二一一五年まで有料化を延長して、その後無料になることはほとんどの国民は思っていないと感じます。いつまでも東京の指示を仰ぐことではなく、県民の皆さんの意見を反映する、このことこそ地方自治が目指す自主性であると思います。  また、この三年間、コロナ禍により経済が低迷し、また、市民生活にも閉塞感がある中、究極の経済対策の一つとして、名古屋高速道路料金を償還主義から恒久有料化として料金を減額、安くするという今後の名古屋高速道路の通行料金の値下げについて愛知県の御所見を伺います。 54: ◯建設局長(道浦真君) 名古屋高速道路の都心アクセス関連事業の進捗状況についてであります。  都心アクセス関連事業のうち、新黄金出入口は、昨年度より橋梁上部工の概略設計や下部工の詳細設計を進めております。また、今年度より用地取得に着手し、本年二月末時点において、約三割の進捗となっております。早期の工事着手に向け、引き続き残る用地の取得を進めてまいります。  次に、新洲崎出入口は、移設困難な地下埋設物を避けた設計や施工など、技術的難易度が非常に高いことから、設計段階から建設会社が技術協力で参画するECI方式による実施設計契約を二〇二〇年度末に締結し、橋梁の詳細設計を進めております。また、昨年度より用地取得に着手し、今年度全て完了いたしました。  最後に、栄出入口及び丸田町ジャンクションの渡り線の追加は、昨年度末に新洲崎出入口と同様のECI方式により契約を締結し、橋梁の詳細設計を進めております。  都心アクセス関連事業につきましては、速やかに設計を完了させるとともに、地下埋設物などの関係機関との移設協議を進め、全ての地区で早期に工事着手できるよう、しっかりと取り組んでまいります。  次に、中京圏の新たな高速道路料金導入後における名古屋高速道路の交通状況についてであります。  名古屋高速道路では、名古屋第二環状自動車道の内側の路線で構成する名古屋線と外側の小牧線及び一宮線で構成する尾北線の二つの均一料金圏を撤廃し、利用度合いに応じた対距離制を基本とした料金体系へ移行いたしました。  新たな料金体系への移行により、名古屋高速道路の全線の平日一日当たりの平均交通量は、二十九万八千台から三十万三千台へ五千台増加しております。特に、旧名古屋線内の出入口間の交通では、移行前の均一料金と比較して値下がり幅が大きい十キロメートル以下の利用の増加が顕著に見られ、交通量は二万六千台から二万九千台へ三千台増加しております。  また、旧料金圏の撤廃により、旧名古屋線と小牧線をまたぐ利用が増加し、並行する国道四十一号から名古屋高速道路への転換が進んでおります。  具体的には、小牧線と国道四十一号の合計交通量が移行前後で約六万七千台と変化がない中、小牧線の交通量は二万六千台から二万八千台へ二千台増加する一方、国道四十一号の交通量は四万千台から三万九千台へ減少し、一般道の交通の円滑化に寄与しております。  最後に、名古屋高速道路の通行料金の値下げについてであります。  名古屋高速道路をはじめとする指定都市高速道路は、短期間で供用するため、道路整備特別措置法に基づく有料道路事業として集中的に整備しており、その通行料金は償還主義などにより決定しております。  具体的には、設立団体からの出資金や貸付金、国からの貸付金及び金融機関からの借入金で建設などに必要な事業費を調達し、維持管理費等を含めた総費用について、一定期間内の利用者の通行料金により賄っていくこととしております。  名古屋高速道路では、現在進めている都心アクセス関連事業や大規模修繕事業などに係る費用について着実に償還できる見通しとなっておりますので、引き続き現行の料金を基本としてまいりたいと考えております。
    55: ◯十六番(桜井秀樹君) 御答弁をいただきました。  それでは、二点要望させていただきます。  まずは、料金改定後の評価であります。  先ほどの御答弁いただいた元資料は、今回の料金改正を主導した国土交通省であると思いますが、課題的なものはありませんでしたが、あたかも万事全てうまくいったように感じました。しかし、忘れてはいけないのは、この三年間、新型コロナウイルス感染症の中で、企業活動、県民の生活動向が、料金改定前と正しい比較ができたのかという思いがあります。  加えて、今回は、議案質疑の関係で、名古屋高速道路に絞りましたが、中京圏全体の評価はどうでしょうか。東名高速、名神高速、名二環と名古屋高速といった全体評価がされていないと感じております。今後は、少なくとも名古屋高速道路も含め、出資者である愛知県及び名古屋市が継続して行うべきであり、加えて、NEXCO中日本とも連携して、中京圏としての評価を要望いたします。  次に、中京圏の新しい高速道路料金についてであります。  この質問のきっかけは、一冊の本からでありました。元トヨタ自動車副社長栗岡完爾氏の地域格差の正体であります。この本は、高速道路の定額化で日本の動脈に血を通わすというサブタイトルで、物の流れ、人の流れの沈滞こそ地域間格差の元凶、大きな追加投資をすることなく、高速道路を四百円乗り放題にするだけで、GDPは三十五兆円増加するとされておりました。  新しい料金の議論のポイントは、二つあると思っております。  一つは、定額制か距離制であります。  距離制の導入に関しましては、二年前は国に屈して距離制を導入いたしましたが、例えば、福岡都市高速や北九州都市高速において、大都市圏に合わせるのではなく、いまだ定額制を維持しております。また、距離制におけるキロ当たりの料金設定の考え方における不平等感も残ります。どちらが経済や利便性を向上し、県民の皆さんに喜ばれるのかだと思っております。  二点目は、償還主義であります。  先ほどの御答弁では、今後の道路整備に関する事業費と維持管理費を調達する手段として料金を徴収するとありました。しかし、償還主義は、最終的に無料化になることを前提とした制度であるということを忘れてはいけないと思います。先ほど答弁いただいた建設局長におかれましては、名古屋高速道路は将来本当に無料になるとお考えでしょうか。いつまでいつかは利用料金が無料になるという神話を信じているのでしょうか。私は、繰り返しますが、恒久有料化に切り替え、現状の料金を引き下げることを検討すべきと感じております。  先日、先ほど紹介いたしました栗岡完爾さんと話す機会をいただきました。いきなり道路は誰のものかと聞かれました。私は、名古屋高速は名古屋市、愛知県、名二環はNEXCOと答えましたら、違う、国民のものだろうと怒られました。さらに、市民、県民がどこに住んでいても同じサービスを受けられるべきであり、道路により地域間における利便性の差があっては駄目であるとも言われました。  愛知県がさらなる発展をするためにも、料金改定の議論が始まることを期待し、質問を終わります。 56: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  杉浦正和議員。 57: ◯六番(杉浦正和君) 私からは、第六款農林水産費第二項畜産業費第二目畜産振興費のうち、自給飼料生産振興事業費について、二点お伺いいたします。  愛知県は全国でも有数の酪農県で、農家戸数が全国十一位、乳用牛の飼養頭数は全国八位、乳用牛から搾った生乳、これは主に牛乳向けに利用されていますが、その生産量は八位となっております。  しかしながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴う世界的な混乱に加え、ロシアによるウクライナ侵攻、さらには急激な円安等の影響を受け、畜産物の生産コストの半分以上を占める輸入飼料の価格が高騰しており、農家の経営努力だけでは追いつかなくなっています。  愛知県の酪農家で組織する愛知県酪農農業協同組合によりますと、二〇二二年四月時点で二百二十五戸だった組合員は、十二月には二百四戸に減りました。この九か月間で実に一割に当たる二十一戸の農家が廃業したことになり、さらに、二〇二三年一月から三月にも五戸が廃業する見込みと伺っております。これまでも後継者が見つからないなどで年五%ほど減っていましたが、かつてないスピードで廃業が相次いでいるとのことであります。私の近所の酪農家も、後継者がいたのにもかかわらず、昨年の夏には廃業されました。  日本最大級の貿易港である名古屋港を抱える愛知県には飼料メーカーの工場も多く、県内の酪農家は輸送費がかさまず、餌を安く手に入れられることもあり、農場で使う飼料の大部分を輸入に頼ってまいりました。また、国の酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針に沿って、二〇二〇年度に県が策定した愛知県酪農肉用牛生産近代化計画によりますと、二〇一八年度の乳牛向け飼料の県内自給率は一五%であり、生乳の生産量上位十道県の中で最も低く、穀物価格の上昇や円安の影響をもろに受けやすい環境にあります。  こうした状況の中、国は昨年九月、ウクライナ情勢に伴う穀物価格の上昇等によって配合飼料価格が上昇しており、畜産経営を圧迫しているとして、飼料価格高騰緊急対策を実施いたしました。このうち配合飼料価格高騰緊急特別対策により、生産コスト削減や飼料自給率向上に取り組む生産者に対し、第三・四半期に配合飼料一トン当たり六千七百五十円の補填金を交付しております。また、第四・四半期についても、配合飼料価格が前期とほぼ同水準で推移するとの観測を踏まえ、同様の緊急対策を継続するとしています。  加えて、購入粗飼料等の影響を受け、生産コストが上昇している酪農経営に対しては、国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策事業により、生産コスト削減や国産粗飼料の利用拡大に取り組む生産者に対し、経産牛一頭当たり都道府県で一万円の補填金を交付しています。  これに対して、本県では、国の飼料価格安定制度を補完するため、ほかの都道府県に先駆け、県独自の緊急的な飼料価格高騰対策として、二〇二一年十月から配合飼料価格高騰対策支援金、翌二〇二二年十月からは粗飼料価格高騰対策支援金を措置して、畜産農家の経営継続に対する直接的な支援を実施してきたところであります。  しかしながら、こうした取組はあくまで緊急的なものであり、酪農家が輸入飼料の動向に左右されずに、今後も安心して経営を継続していくためには、飼料自給率の向上が必要であります。  農林水産省の資料によりますと、都府県における自給飼料の生産コストは、年により変動はあるものの、輸入乾牧草と比較して十数%ほど安く、コスト面で総じて優位にあるとのことであります。  とはいえ、自給飼料生産は酪農家だけでは限界であることから、私は、耕種農家を中心とした飼料作物を生産する担い手を確保し、地域の水田を有効に活用して飼料作物を積極的に栽培し、酪農家に供給していくシステムの構築が不可欠と考えております。  このような視点から、本県の飼料自給の状況を見てみますと、最新の二〇二一年度の県内の飼料作物作付面積は三千五百五十ヘクタールで、その内訳は、飼料用米が五九%、牧草が一九%、青刈りトウモロコシなどが一五%、稲発酵粗飼料、いわゆるWCSが四%となっております。このうち、耕種農家が栽培していると思われる飼料米とWCSを足すと約二千二百四十ヘクタールになりますが、これは県内の水田面積四万千五百ヘクタールの僅か五・四%にすぎません。  こうした中、県は、今年度から自給飼料生産振興事業を立ち上げ、水田を活用した稲以外の栄養価の高い飼料作物の生産拡大に取り組んでおられます。  そこでお尋ねいたします。  まず、一点目として、自給飼料生産振興事業の初年度である本年度の実績はどうであったかをお伺いいたします。  そして、次に、来年度はどのような取組を進めていかれるのか、とりわけ、飼料作物を生産する担い手の確保、これに向けてどう取り組んでいくのかお伺いいたします。 58: ◯農業水産局長(矢野浩二君) 自給飼料生産振興事業費に関するお尋ねのうち、今年度の実績についてお答えをします。  この事業は、稲作農家が水田を活用して、稲以外の飼料作物を栽培し、畜産農家が利用する新たな仕組みにより、県内飼料自給率の向上を目指すものであり、実証を通じて、県内全域への普及を図ってまいります。  今年度は、水田でトウモロコシを栽培し、実をつける前に茎ごと刈り取る、いわゆる青刈りトウモロコシについて検証するため、海部、知多、豊田の各地域、合計十六ヘクタールの水田におきまして、収穫量や肥料の吸収量、土壌の排水性などを調査いたしました。その結果、水田の土壌成分や湿気などの影響により、収穫量につきましては、十アール当たり二・一トンと、目標の八割にとどまりましたが、適正な肥料の量や必要な排水対策など、栽培に適した条件が明らかになりました。  また、青刈りトウモロコシを乳牛に給与した結果、嗜好性もよく、乳量や乳質への影響も認められなかったことから、飼料としての有効性が確認できた一方で、飼料の保管スペースの確保や、離れた圃場の運搬コストについて懸念する意見もありました。  次に、来年度の取組についてお答えをいたします。  来年度は、今年度実証を行った水田において、適正な肥料を使用し、排水対策を講じた上で、青刈りトウモロコシの収穫量を検証するとともに、新たに東三河地域においても実証を行い、稲作農家と畜産農家が連携した飼料作物生産モデルの定着を図ってまいります。  さらに、畜産農家の懸念を解消するため、県内で生産した飼料作物の広域流通について、流通や保管のコストを含めた費用対効果を検証してまいります。  また、輸入に依存している配合飼料の自給率を高めるため、実の部分を利用する子実用トウモロコシについても、豊田と東三河の二地域において水田での栽培実証を進めてまいります。  次に、飼料作物を生産する担い手の確保対策です。  自給飼料の生産の取組を県内に広く展開するには、機械の共同利用や資材の共同購入など効率化を図り、生産コストを抑える必要があります。このため、JA等の関係団体と協力して、飼料生産のための組織づくりに取り組むとともに、国の事業やあいち型産地パワーアップ事業などを活用して、機械導入に対する支援も行ってまいります。  こうした取組を県内各地で進め、稲作農家と畜産農家の連携による飼料作物の生産流通システムを構築することにより、自給飼料生産に立脚した足腰の強い畜産の実現を目指してまいります。 59: ◯六番(杉浦正和君) 御答弁いただきました。要望をさせていただきます。  私の地元の酪農家さん、これは先ほどの方ではございませんが、その方にお話を聞いたところ、その農家さんは約三百頭の乳牛を飼育しておりまして、飼料高騰によって経営が本当に厳しいとおっしゃっていました。昨年の十二月の支払いは一千万円を超えて、もちろん赤字だと、こういうお話であります。廃棄食料を利用して発酵飼料を自前で作っているのにもかかわらず、こうした状況であります。  背景には、数年前、バターなどの加工品が不足したことから、国がクラスター事業や加速化事業などで増産を目指したことにより、過剰在庫状況となってしまったこと、これに飼料高騰が重なって、本当ににっちもさっちもいかない状況になっているのであります。  先ほどの御答弁のお話ですと、これから飼料の自給率というものを上げていくんだと、今、取組をやっていると。これもやっぱり一朝一夕ではなかなかなし得ないことだと思います。  そういった意味では、今、支援、このほかの緊急対策事業でありますとか、こういった支援を切ってしまったら、それこそ本当に廃業がどんどんどんどんと進んでいく、そういう状況になっていこうかと思います。飼料の高騰がこのまま続くのであれば、県としても、第四・四半期以降も国に支援の継続を要請することはもとより、県の支援メニューもございます。こうしたものも自給飼料生産が軌道に乗る、ある程度の自給率が上がってくるまでは継続していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。 60: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  岡明彦議員。 61: ◯三十二番(岡明彦君) 私からは、歳出第六款農林水産費第一項農業総務費のいいともあいち魅力向上推進事業のうちのSDGs貢献あいち地産地消推進事業及びあいちの伝統野菜振興事業について質問します。  愛知県は中部地区最大の産出額を誇る農業に加え、水産業も盛んであるなど、それぞれの気候や風土を生かした特色ある産地が広がり、私たちの生活の身近なところで様々な農林水産物が生産されています。また、人口七百五十万人を有する大消費地であり、生産地と消費地が近接している特徴を生かし、県では、一九九八年度から、いいともあいち運動を進めてきました。  一方、県が策定している食と緑の基本計画二〇二五においては、県産農林水産物の魅力や農林水産業の重要性などへの県民理解を深めるため、いいともあいち運動を一層推進することとされています。  さらに、いいともあいち運動は、消費者、生産者、流通関係者など、県内各地域における様々な立場の機関、団体、企業等が主体となって、互いに連携しながら活動を進めてきたと承知をしています。  このように、いいともあいち運動は、県民に対して、本県農林水産業に対する理解促進を図るとともに、本県独自の地産地消の取組として、県産農林水産物の需要拡大に一定の貢献をしてきたと思います。  しかしながら、本県における地産地消の状況は、二〇二一年度に実施した県政世論調査の結果によると、県民の地産地消の実践の程度を示すと思われる、愛知県産をできる限り優先して購入する県民の割合は一三・三%となっています。この内訳は、価格が多少高くても、愛知県産をできる限り優先して購入するが三・五%、価格が他産地と同程度であれば、愛知県産をできる限り優先して購入するが九・八%となっています。この結果からは、県民の皆さんに、地産地消の意識が浸透していないこと、また、県産農林水産物を積極的に購入する行動に結びついていないことが見てとれます。  その一方で、消費者の食に対する意識の高まりや、農林水産物に対する安全・安心志向の高まりから、地産地消が以前にも増して注目されていることも事実です。消費者にとっては、新鮮な地元の農林水産物が手に入り、生産者の顔を見ることもでき、安心感を得ることができます。生産者は、輸送コストを抑えることができ、所得向上につながります。  このように、地産地消は、生産者、消費者の相互にとって利点があるばかりか、SDGsを目指す世界の潮流の中にもあります。  そこで、県は、これまで以上の地産地消を推進するため、本年度から地産地消あいちSDGs推進キャンペーンを実施したと承知しています。  そこでお尋ねします。  令和五年度の地産地消あいちSDGs推進キャンペーンでは、どのような取組を進めていくのかお伺いします。  続いて、あいちの伝統野菜振興事業についてお尋ねします。  愛知県は古くから野菜作りが盛んな地域です。この地域は、温暖な気候と豊かな水や土に恵まれていたことに加え、できた野菜を漬物などに加工する技術もあり、これが一つの産業として古くから栄えていました。  慶長一九年に描かれた下小田井の青物市の絵には、当時の活気ある様子が描かれており、四百年前には全国各地から野菜や種が集まってくるようになっていたことが分かります。こういった歴史を背景に、尾張地域では、種や苗を育てて農家に売る種苗業者が誕生し、優れた品種を作り出すなど、日本の野菜作りに大きく貢献してきたとお聞きをしております。  現在、残念なことに、歴史を生き抜いてきた個性豊かな野菜を店頭で見る機会は少なくなりましたが、県は、伝統的な野菜を身近な野菜として県民の皆さんに利用していただこうと、二〇〇二年、愛知の伝統野菜を選定して、その普及に取り組んできました。  翻って、私の地元名古屋市緑区では、昨年、昭和初期に盛んに栽培されていた徳重だいこんを地元の特産野菜として広めようと、徳重だいこん保存会が設立されました。その結果、地元の朝市やスーパーでの販売のほか、区内の飲食店で徳重だいこんを使用したメニューが提供され、注目されました。さらに、先月、県営大高緑地で行われた県のイベントで、徳重だいこんの葉っぱを原料に使った鳴海絞り体験事業が行われ、新聞報道もされました。  このような活動は、地産地消にもつながる活動であり、また、県民に伝統野菜の良さを伝え、その活用を広め、さらには地域の振興につなげていくこと、そういう意味で意義があるものだというふうに実感をいたしました。  そこでお尋ねをいたします。  令和五年度予算であいちの伝統野菜振興事業が新規に提案されましたが、愛知の伝統野菜の振興に資する取組をどのように行っていくのかお伺いします。 62: ◯農業水産局長(矢野浩二君) 初めに、二〇二三年度の地産地消あいちSDGs推進キャンペーンの取組についてお答えをいたします。  地産地消は、輸送に伴う二酸化炭素の排出量を削減し、環境に配慮した消費、いわゆるエシカル消費につながるなど、県民の関心が高いSDGsに貢献する取組であります。  そこで、SDGsを食の面から推進するため、県民の皆様がふだんの生活で地産地消に取り組んでいただけるよう、本年度から地産地消あいちSDGs推進キャンペーンを実施しております。  二〇二三年度は、様々な世代の方に地産地消やSDGsに対する理解を深めていただくために、新たにPR動画を作成し、利用者の多いSNSを活用して配信するデジタルプロモーションを実施するほか、SDGsに積極的に取り組む県内企業等と連携しまして、イベントの開催やメディアを活用した情報発信を進めてまいります。  また、地産地消の実践を促す取組として、本年度に引き続き、県民の皆様に県産農林水産物を積極的に取り扱う店舗を巡っていただくデジタルスタンプラリーを実施してまいります。二〇二三年度のスタンプラリーでは、JAの産直施設や量販店を加え、大幅に参加店舗を拡大するとともに、新たに店頭で県産農林水産物をPRするイベントを実施するなど、より多くの方が県産農林水産物に接し、継続的に購入していただける機会を創出します。  こうした取組を通じて、県民の皆様にSDGsに貢献する地産地消への理解が浸透し、地産地消が定着するようしっかりと取り組んでまいります。  次に、愛知の伝統野菜の振興に資する取組をどのように行っていくかについてお答えをいたします。  伝統野菜は、単に一つの品種としてだけではなく、歴史的、文化的な地域資源として大きな価値を有していることから、伝統野菜の生産を絶やさないことが重要だと考えております。  本県では、伝統野菜を身近な野菜として県民の皆様に利用していただくため、二〇〇二年から昭和三十年頃に栽培されていたもの、地名、人名がついているなど愛知県に由来しているもの、今でも種や苗があるもの、種や生産物が手に入るものという四つの定義を満たす野菜を愛知の伝統野菜として現在までに三十五品種を選定し、今年度、新たに追加の選定を進めているところであります。  伝統野菜については、保存会の設立や伝統野菜を核とした地域おこしに取り組んでいる地域も見られますが、消費者になじみが薄く需要が少ないため生産意欲が上がらないことや、生産者の高齢化により、栽培の継続が危ぶまれております。  このため、県では、あいちの伝統野菜振興事業を創設し、来年度は、まず、県内での生産など現状を調査し、県のウェブページやリーフレットをリニューアルします。そこでは、産地で継承されている栽培技術、歴史的な由来や伝統野菜ならではの特徴、販売店など、生産者と消費者の双方に魅力のある情報を分かりやすく発信してまいります。  また、新たにSNSを活用して、各産地でのイベントや体験教室、旬の情報などをタイムリーに発信することにより、消費者の関心を高め、需要の喚起を図ることとしております。  こうした取組により、伝統野菜の生産の継承と需要の拡大、消費者への理解促進を図り、将来的には、伝統野菜を通じた産地同士の情報交換や交流へと発展させ、地域の振興につなげてまいります。 63: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  おおたけりえ議員。 64: ◯十七番(おおたけりえ君) それでは、歳出第七款建設費第三項河川海岸費、豊川下流圏域河川整備計画のうち、善光寺川の治水対策について伺います。  豊川市内の国道百五十一号や国道一号との結節点である宮下交差点から県道豊橋豊川線との結節点である城下交差点付近までは、豊川市にとって災害時などの緊急輸送道路と、大変重要な位置づけがされている道路であるにもかかわらず、毎年のように水につかっている状況です。  また、近隣にある県立小坂井高校の生徒が通学する際に、膝下まで水につかってしまうことがよくありますし、二年前に校内の模擬試験を中止にせざるを得なかったような事例もあり、大変困っているという声が届いております。  例として、昨年度の小坂井高校の実際の状況をここで御報告をいたします。  令和三年七月三日土曜日、一、二年生は模擬試験、三年生は土曜課外授業の日。前日の夜中から大雨が続き、午前七時前には路上は冠水しており、水深は車のバンパーに届くぐらいの深さだったそうです。模擬試験の延期と課外授業の中止を決定、メールで生徒に延期及び中止の連絡をされたとのことでした。しかし、生徒の中には、連絡メールに気がつかずに登校した生徒もあり、男子生徒はズボンをたくし上げて水の中を歩いてやって来たそうです。この日に出勤した職員の中には、車を百五十一号より西側の五社稲荷の駐車場に止め、冠水した百五十一号の交差点の道路を歩いて渡って来た者もいたそうです。  令和三年八月十八日水曜日、三学年とも夏休み中の課外授業の日。朝のうちは浸水していなかったが、大雨が降り続いたため、小坂井高校の先生方は道路冠水のおそれがあると判断をし、午前七時頃、メールにて生徒に対し登校禁止と連絡をしたそうです。ほとんどの職員の方は冠水前に出勤を終えていたとのことですが、その後、徐々に善光寺川の水かさが増し、午前九時頃に善光寺川から水が路上にあふれ出したそうです。午前十時頃、出勤した職員の方は、五社稲荷駐車場に車を止め、浸水した交差点を徒歩で渡ったそうです。最も深いところでは股下ぐらいまでの深さがあり、トラックが通ると波をまともに受け、全身ずぶぬれになる状況、パトカーも浸水して動けなくなっていたそうです。午後五時過ぎを過ぎても、水の深さはほとんど変わらず、職員の皆さんは、車を連ねて、宮下東交差点の青信号に合わせて、途中で停車しないようにしながら退校されたそうです。午後八時頃、職員の方が最終退校をしたその時点でも、まだ水は引いていなかったということです。  これまでもこの課題に対しては、善光寺川の藻を取っていただいて流れをよくしたり、少しずつ護岸改修をしていただいたり、対処療法的な対策は、ここ数年、毎年毎年、予算をつけて行ってくださっておりますが、根本的な解決には至っておりません。  今回、河川整備計画を策定し、調節池を整備するなど、新たな案を先日の愛知県河川整備計画流域委員会で提示してくださっておりますが、一、現在、検討中の対策がどのようなもので、今後どのように進めていかれるお考えか伺います。  また、二、地元住民へアンケートを予定しているそうですが、近隣住民だけでなく、実際に通学の際に影響を受けている小坂井高校の生徒たちにもアンケートを取っていただければと思いますので、お考えを伺います。  加えて、三、愛知県河川整備計画流域委員会では、コロナ前までは学識経験者の方々に現地視察をしていただき、委員会で提示された案が現地の状況に見合っているのかを検討していただいておりましたが、現在はコロナ禍の中で現地視察をやめているということです。今回の対策が現地をよく分かった上での対策となるように、現地視察の復活をすべきと思いますが、お考えを伺います。 65: ◯建設局長(道浦真君) 豊川下流圏域河川整備計画における善光寺川の治水対策についてであります。  善光寺川を含む豊川下流圏域の県管理河川については、現在、学識経験者などで構成する流域委員会の意見を聞きながら、河川整備計画を作成中です。二〇二〇年十二月の第一回委員会で、流域や河川における現状と課題を整理し、本年一月の第二回委員会で、具体的な計画案を提示したところです。  善光寺川については、豊川放水路との合流点から上流の約一・三キロメートルの区間で、現況の川幅を約七メートルから約十三メートルに拡幅するとともに、上流の二か所で合わせて約八万立方メートルの調節池を整備する計画案としております。この計画案では、県立小坂井高校付近の河道の流下能力が、現況で毎秒約二十立方メートルであるのに対し、毎秒三十五立方メートルに増大します。さらに、上流の調節池が毎秒二十五立方メートル相当の洪水を低減する効果があり、安全度が向上いたします。  今後は、住民アンケートや関係する行政機関などへの意見聴取を踏まえ、早期の事業化に向け、河川整備計画を取りまとめてまいります。  なお、住民アンケートの実施方法については、他の圏域の方法に倣い、豊川下流圏域の対象流域内全世帯の約三万六千世帯に実施する予定でありますが、流域委員会の委員から、次世代を担う子供たちを対象にできないかとの意見を受けており、議員御指摘の高校生を含めた対応を検討してまいります。  また、実施を見合わせていた委員の現地視察についても、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことから、来年度開催していきたいと考えております。今後、現地をしっかり見ていただき、計画作成に反映してまいります。
    66: ◯十七番(おおたけりえ君) 御答弁ありがとうございました。  川幅を拡幅、そして二か所の調節池を整備してくださるとのこと、ありがとうございます。少しでも早く改善されるように、スピード感のある対応をお願いしたいと思います。  現状よりよくなることは今の対策の規模からも理解をいたしましたが、流域委員会の資料の中で、善光寺川の整備の目標として、年超過確率五分の一の降雨に対して、宅地床上浸水の防止を図るとの記載があります。宅地の床上浸水を防ぐレベルでは、先ほど申し上げましたような小坂井高校の生徒たちが困っているような状況が解消されるのかどうか不安です。  そこで、今回の治水対策案について、整備する前と整備した後では氾濫区域はどのくらい減るのか、また、小坂井高校の通学路の浸水被害はどのくらい減るのか伺います。 67: ◯建設局長(道浦真君) 河川整備の前後の氾濫区域についてであります。  今回作成している河川整備計画案では、時間雨量五十二ミリに対応しております。この降雨量に対して、整備前は、現在の土地利用ですと約四十七ヘクタールで、床上浸水の目安である五十センチメートル以上の浸水が想定されますが、整備後は、市街化の進展による河川への流出増加を加味しても、浸水区域は約三十三ヘクタールとなり、約十四ヘクタールの減少が見込まれます。なお、この整備により、家屋のある区域での床上浸水はなくなります。  次に、県立小坂井高校の通学路についてでありますが、計画案の調節池整備に併せて通学路のかさ上げを行いますので、浸水が解消されると考えております。 68: ◯議長(須崎かん君) 進行いたします。  日高章議員。 69: ◯七番(日高章君) 私からは、歳出第七款建設費第三項河川海岸費のうち、中小河川改良費の中から、境川水系の下流域における河川整備について伺います。  今から二十三年前の二〇〇〇年九月の東海豪雨では、台風十四号の北上に伴い、活発化した秋雨前線の影響で、東海地方は局地的な大雨に見舞われました。刈谷市の泉田雨量観測所では、総雨量三百四十八ミリを記録し、境川の支川の六か所の堤防が決壊し、広い範囲で浸水が発生しました。このとき、私の地元の大府市をはじめ、多くの市町に災害救助法が適用されるほどの甚大な被害がもたらされました。  その後は、幸いにも、東海豪雨級の甚大な被害は発生しておりませんが、近年の激甚化、頻発化する豪雨により、堤防の決壊や越水といった浸水被害がいつ発生してもおかしくありません。境川水系の下流域では、河道拡幅などの整備が進められており、これらのハード対策を確実に進め、豪雨に備える必要があります。  まずは、境川本川の下流部における整備についてであります。  二〇一四年三月に、二級河川境川水系河川整備計画が公表されており、その中で、背後地の地盤高が低く、堤防の決壊や越水時の浸水被害が広範囲にわたり甚大な被害が発生するおそれのある河口から豊明市の井堰川合流点付近までの延長約十一キロメートルの下流部は、年超過確率二十分の一の規模の降雨に対し、河道を拡幅するなどの河川整備を行うとなっております。  昨年の六月議会の一般質問で取り上げましたとおり、境川本川の石ヶ瀬川と合流点の下流約〇・五キロメートルの区間では、河道断面が狭く、下流能力の面でボトルネックとなっており、水害の要因となっております。  現在、境川本川では、下流から河床掘削が進められ、石ヶ瀬川との合流点下流の川幅の狭い区間まで近づいてきたことから、今年度からこの区間の掘削と護岸工事にも着手すると伺っております。境川本川の下流部では、多くの支川が合流しており、一たび氾濫が発生すると、甚大な浸水被害が想定されることから、これら整備の着実な進捗が不可欠であります。  そこで、境川本川の下流部における整備の実施状況についてお伺いいたします。  次に、境川水系の下流域の支川である五ヶ村川及び逢妻川についてであります。  河川整備計画では、五ヶ村川は、境川合流点から県管理河川の上流端までの約八・七キロメートルについて、年超過確率五分の一の規模の降雨に対し河道を拡幅するなどの河川整備を行うとなっております。現在、五ヶ村川では、石ヶ瀬川立体交差地点から上流約〇・五キロメートルの区間において、隣接して流れる大府市管理の横根川との中堤を撤去し、五ヶ村川と一体化する河道拡幅の工事が行われています。  また、大府市においても、五ヶ村川流域の排水路を改修することとしまして、今年度から設計を始め、来年度、用地買収に着手する予定と聞いており、県としましても、この改修と併せ、五ヶ村川の洪水の一部を境川へ排水する排水機場を新設するための設計が進められています。  豪雨災害のリスクを着実に軽減するためにも、市と連携した効果的な整備に期待をしておるところでございます。  次に、逢妻川は、河川整備計画では、境川合流点から逢妻女川と逢妻男川の合流点までの約十・七キロメートルについて、年超過確率二十分の一の規模の降雨に対し、河床掘削や河道拡幅などの河川整備を行うとしております。  逢妻川や支川の流域では度々浸水が発生している地域もあり、これらの被害を軽減し、豪雨に備えるため、逢妻川の下流部の整備を着実に進捗させる必要があります。  そこで、境川下流域の支川である五ヶ村川及び逢妻川の整備の実施状況についてもお伺いいたします。 70: ◯建設局長(道浦真君) 境川水系の下流域における河川整備についてであります。  境川水系の河川については、二〇一四年三月に公表した二級河川境川水系河川整備計画に基づき整備を実施しております。  このうち、境川本川については、最下流から河床掘削や河道拡幅など、衣浦湾から東郷町にかけて合わせて約十七・六キロメートルの区間における整備を位置づけております。河床掘削については、今年度、約〇・四キロメートルを実施し、これまでに約四・四キロメートルの区間が完了しております。また、この区間では、逢妻川との背割堤を約〇・六キロメートル撤去し、境川本川と一体化して河道拡幅する工事も行い、今年度完了しております。さらに、河床掘削が完了した地点から、約一キロメートル上流で、川幅が狭い約〇・五キロメートルの区間については、今年度、河道確保のための掘削と護岸工事に着手し、約五十メートルを実施いたしました。  次に、五ヶ村川については、河川整備計画に、河道拡幅など約二・七キロメートルの区間における整備を位置づけております。このうち、五ヶ村川と隣接して流れる横根川との中堤の撤去については、二〇一八年度から実施しており、今年度、残る八十メートルを撤去し、五ヶ村川と一体化する河道拡幅が完了いたしました。  また、五ヶ村川の洪水の一部を境川へ排水する排水機場の新設については、今年度、予備設計を行い、ポンプ形式や原動機などの仕様を決定したことから、来年度、詳細設計を実施してまいります。  逢妻川の下流部については、河川整備計画に、河床掘削や河道拡幅、洪水調節池など約三・四キロメートルの区間における整備を位置づけております。河床掘削については、下流から進めており、昨年度までに約〇・四キロメートルが完了しております。  また、河床掘削が完了した地点から約一・二キロメートルの上流の左岸で、約二十五万立方メートルの洪水を貯留する調節池の整備を二〇一四年度から実施しており、今年度、最終工事となる排水樋管の接続工事を行い、調節池整備が完了いたしました。この調節池が完了したことから、その上流の約〇・六キロメートル区間の河道拡幅に着手することとし、今年度、詳細設計を行い、来年度、工事に着手する予定です。  今後も、県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、境川水系の治水安全度の向上に努めてまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 71: ◯四十一番(山田たかお君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 72: ◯議長(須崎かん君) 山田たかお議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 73: ◯議長(須崎かん君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時三十八分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時二十九分開議 74: ◯副議長(佐藤一志君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  河合洋介議員。 75: ◯三十六番(河合洋介君) 私からは、歳出第五款経済労働費第三項労政費のうち、就職氷河期世代就職支援事業費について伺います。  もうさんざん就職氷河期についてはこすられ尽くしておるような部分もありますが、就職氷河期世代への様々な支援、特に就職支援についてはやはり非常に重要でございますので、私も当事者世代の一員として触れさせていただきたいと思います。  就職氷河期世代、このキーワードに関わる事業について質問させていただくわけですが、そもそも就職氷河期とは一体何なのかということについては、今さら細かく触れてはいくつもりはありませんけれども、私も就職氷河期世代のど真ん中でございますけれども、呼ばれているほうはとにかくあまり気持ちのいい言葉ではありません。  また、これ、言葉遊びじゃいけませんけれども、ようやく国が力を入れてきてくれまして、国も危機感を持って取り組んでくれるようになって、二〇二〇年を皮切りに、二〇二二年までの三年間を第一ステージと位置づけて、これから、新年度を第二ステージへと移行し、力を入れていくことと国のほうもしております。もう大分対応については遅いなという気もしますけれども、今そういう状況であります。  就職氷河期世代と言い続けましても、この世代、私、一昨年も議案質疑で、同様、類似の質問をさせていただきましたが、当時、大体三十五歳ぐらいから五十歳ぐらいまでと、一昨年でございますので二年たちまして、今現在は三十七歳から五十二歳ぐらいへの対応と。ですから、これ、もう数年たてば上の皆さんは定年も近くなってきまして、今さら就職支援かよというような、そういう時代にもなってしまいますので、大変、崖っ縁といいましょうか、力を注いでほしいタイミング、もうぎりぎりのタイミングだというふうに思います。  そこで、まず伺いたいのは、就職氷河期世代への支援について、今後の県としての取組方針についてまずお聞かせをいただきたいと思います。  続けます。  就職氷河期の言葉の定義的なものでいえば、今申し上げましたとおり、バブル崩壊を発端にして、一九九三年から二〇〇五年頃に起こった超就職難のことであると定義してあるものが多いです。  当時、学卒の就職率が史上初めて五〇%台まで低下をしました。大学を卒業しても正社員として就職できないという状況が多発しまして、泣く泣く非正規雇用として働かざるを得なかったり、あるいは、望んだ職種、業種に求人の募集がなく、マッチングがうまくいかなかったりして、高い離職率となり、今、職を転々とするなど、そのままずるずるという状況が生まれました。中には、ひきこもりの状態やニートという言葉が生まれたのもこの世代に対してが非常に多いです。あるいは、自宅警備員と居直ったり、時代によって生み出された言葉を地でいくような層が生まれました。  それに加えて、そろそろ景気がよくなるかなと思っていたら、二〇〇一年にはITバブルが崩壊をし、労働者派遣法の改正などもあり、非正規雇用の数がぐぐっとまた増えることともなりました。よって、生活が不安定な傾向にあるまま時だけが過ぎ去っていたわけです。  さらにさらに、追い打ちをかけるかのようにリーマンショック、あるいは東日本大震災があり、就職氷河期世代の雇用環境はなかなか上向かずに推移することになります。昨今のコロナ禍も強烈な追い打ちになっています。  あしたから本気出すとか、まだ本気出していないだけと、こういうふうに強がっておりましたけれども、なかなか抜け出すきっかけすらつかめずに、年だけ、年齢だけを重ねてきております。こうした人々は、現在二〇二三年、先ほど申し上げました三十七歳から五十二歳ぐらいになりました。ロストジェネレーション、失われた世代などとも呼ばれ、私もそのど真ん中にあります。  就職氷河期世代、当事者たちは、自分たちではどうにもならない社会情勢であったにもかかわらず、氷河期だの、失われた世代だの言われる、何とも言えない闇を抱えておるわけであります。  この世代は、一九七〇年代前半生まれの、いわゆる団塊ジュニアの後半あたりの皆さんも含まれてくるため、広く定義をいたしますと総人口の約二割が就職氷河期世代と言え、ここが元気がないと社会全体としても相当これから厳しい状況になってきます。  就職氷河期世代の苦境は尋常じゃないものがありまして、現在、ある意味、働き盛りの年齢であるにもかかわらずくすぶっています。くすぶり続けております。家庭を持ち、子供をつくり、本来であれば内需の中心的な役割を担う世代であるにもかかわらず、それができない。もしかしたら、少子化対策やそういったものの原因、闇の一役を買っているのは、この世代が伸び伸びと社会に出て活躍ができていない、そういった部分があるのではないかと私は思っています。  高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年危機という言葉もありますけれども、これ、まさに就職氷河期世代が高齢者になる時期と重なってきます。経済的自立のできないまま、今まで強がってきておりますが、両親が介護を必要とするようなケースにこれからどんどんなってきて、実際そのような相談も私、受けるとき、多いです。  かなり遅きに失した感もありますけれども、御紹介をさせていただいたとおり、国はようやく、二〇一九年の骨太の方針によって、就職氷河期世代の正規雇用者を三年間で三十万人増やすと、こういう目標を掲げられて、政府の中に就職氷河期世代支援推進室なるものが設置されました。これが、先ほどの第一ステージの始まりということであります。新年度から第二ステージに入っていくんだよと、そういうような流れであります。  愛知県としても、愛知労働局と共同で設置をするあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームをつくられて、そこで策定した計画に基づく取組によって、就職、正社員化、職場定着及び社会参加を支援するということで、今までも様々な施策が執り行われてまいりました。  愛知県庁独自の支援としましても、愛知県職員の採用に当たって、二〇一六年度から全国に先駆けて就職氷河期世代の中途採用枠を別枠で設け、積極的に応援をしていただいてもおります。本年度も三十四歳から五十二歳の方を対象とした中途採用、約十名の募集を行って、倍率は四十一・三倍とお聞きをしておりますし、過去には倍率が百倍を超えるような年度もあったとお聞きもしております。  新年度予算の中でも、就職氷河期世代への取組として様々な事業が予定をされております。ぜひ愛知県としても就職氷河期世代への支援を積極的に行ってほしいと考えております。  るる申し上げてまいりましたけれども、新年度に取り組む就職氷河期世代就職支援事業について伺いたいと思います。  希望者にキャリアコンサルティングを行って、マッチング、そして紹介予定派遣制度を活用し、就職を支援していくというこの事業、継続して行っている事業であります。本年度も行われており、同事業の募集定員五十名のところに百十四名の参加があったとお聞きをしております。予想をはるかに超える希望者があったということになります。本年度は、定員を超えても何とか全員お断りすることなく対応されたとお聞きをしておりますけれども、今後は、よりニーズに応えることができるような事業にしていってほしいと思います。  そこで伺います。  新年度の同事業には、募集定員に変化があるのかどうかお聞きします。また、本年度までに取り組まれてきたことを踏まえ、どのような成果や課題があったのか、そして、新年度はそれを受けてどのような取組を行っていくのかお聞かせをいただきたいと思います。  続けて、事業の広報についてもお聞きします。  それだけ問合せや応募が多いのであれば、もっと周知をすればもっとニーズを掘り起こすことにつながると思います。氷河期世代と呼ばれておりますので、氷漬けになっておりますから、なかなか身動きが取れません。ぜひ救いの手を差し伸べていただきたいと思っております。  こうした事業を潜在的なニーズに届けていくために、広報について県としてどのように周知をしていくのかお聞かせをいただきたいと思います。  以上、御答弁よろしくお願いいたします。 76: ◯労働局長(日高啓視君) 就職氷河期世代への支援につきましては、国や市町村、企業、民間支援団体との連携が不可欠であることから、二〇一九年に全国に先駆けて設置したあいち就職氷河期世代活躍支援プラットフォームにおいて、不安定な就労状態の方や無業の方への就職、正社員化の支援や、ひきこもりの状態にある方の社会参加の支援を行ってまいりました。  国の方針として、二〇二三年度から二年間を新たに第二ステージとして支援を継続することとなりましたので、本県も、引き続きプラットフォームを活用し、効果的できめ細かな支援を地域一体となって進めてまいります。  次に、就職氷河期世代就職支援事業についてお答えします。  就職氷河期世代の方に対し、ビジネススキル向上のための事前研修や人材派遣会社の紹介予定派遣制度を活用した職場実習を行うことで、職場実習先への正社員就職を支援しております。本年度の就職実績は六十一名、うち二十七名は正社員です。  一方で、就業経験が少なく、自分に自信が持てないなどの理由から実習への移行をためらう方や、早期に就職を決めるため、自ら職場実習を希望しない方もいらっしゃいました。  そこで、来年度は、より求職者のニーズに合った丁寧な支援を行えるようコースを二つに分けることといたしました。新たなコースとして、社会人基礎力やビジネススキルの研修修了後、直ちに企業とのマッチングに進む早期就職実現コースを設けます。また、従来のコースをじっくり就職コースとして、様々な職種を体験する模擬就職を加えるなど、職場実習にスムーズに移行できるよう見直しを図ります。  募集定員につきましては、本年度の五十名から両コース合わせて八十名に拡充し、企業とのマッチングから採用までを伴走型で支援してまいります。  事業の広報につきましては、専用サイトを開設するとともに、支援を必要とされる方がよく使われているLINEやツイッターなどのSNSを活用した周知に取り組んでいます。  また、御家族や周囲の方を含む多くの方に目にしていただけるよう、市町村の図書館等の身近な場所にチラシを置くほか、コンビニエンスストアにもポスターを掲示し、本事業への参加を呼びかけてまいりました。  一方、企業に対しましては、メールマガジン等を通じて就職氷河期世代の方々を対象とした求人、採用への協力を要請しております。  今後も様々な広報媒体を通じて周知に努めてまいります。 77: ◯三十六番(河合洋介君) 御答弁いただきました。  一点、要望をさせてください。  就職支援事業につきましては、来年度からは定員も三十名増やして、そして、さらに早期就職コースとじっくり就職コースと二つに分けてとか、様々なカスタマイズをされていっていただけるということで、ぜひいろんな支援、効果的であるというふうに思っておりますので、お願いをしたいというふうに思います。  国の継続した支援が決まって、これから第二ステージということなので、愛知県もそういった様々な制度を活用して、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。  一点の要望は、やはり周知をどのようにやっぱりしていくかということで、恐らく労働局さんや経済産業のセクションだけではなかなか手が届かないところがあると思います。アウトリーチのようにいくには、例えば、ひきこもりの支援だとか、家に閉じ籠っている人を引っ張り出してくるなんていうのは、逆に地域のサポステや、あるいは福祉のセクションとしっかりと連携をしていかないといけないというふうに思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。  コロナの影響で採用意欲の低下は見られましたけれども、ここ最近は、有効求人倍率も回復しつつあって、採用意欲、企業側の、高まっている状況にはあります。  しかし、大変な心配は、先ほど来、お話をしておりますとおり、氷河期世代はええ年になってきておりますので、企業側からすれば、素直で若い人材を取ったほうがいいんじゃないかという、我々としては、それ、言われちゃうと詰んじゃうよという大変厳しい社会情勢であります。これ、三年、五年たてば、就職氷河期世代支援とかといって、誰も見向きもしてくれなくなるような年齢になってしまうかも分かりません。  私も、周りの友達、同年なんかと話をしていますと、実家暮らしで何とか生き長らえていた連中たちがいよいよそれが苦しくなってくると、親の介護が始まるとか親の年金がちょっと減るとか、いろんなことで本当に崖っ縁。いよいよ就職活動をしようと思ったら、もういい年ですので、もらい手がないという大変厳しい状況にあります。  ぜひ、様々施策を凝らしていただいておると思いますので、引き続き積極的な支援をお願いしたいのと同時に、先ほど来、お話、ありますが、周知のほうにも、ニーズを掘り起こせば必ずたくさんまだまだニーズは転がっておると思いますので、切にお願いをして、発言を閉じたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。 78: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  平松利英議員。 79: ◯八番(平松利英君) 私からは、歳出第七款建設費第三項河川海岸費のうち、中小河川改良費の中から日光川二号放水路の整備の進捗状況と今後の取組について伺います。  尾張北西部から伊勢湾へ流れる二級河川日光川は、河川延長約四十一キロメートル、流域面積約三百平方キロメートルの県内最大の二級河川であります。  日光川流域は、伊勢湾台風をはじめとした度重なる水害や流域の都市開発に伴う流出増加に対して、安全な川づくりを実施するために水閘門や排水機場の整備を行い、河道拡幅や河床掘削などが河口より順次進められています。  しかしながら、日光川は、河川延長が非常に長く、改築が必要な橋梁も多数あることから、中・上流域の整備完了には、まだまだ時間と費用を必要とする反面、一宮市内をはじめとした河川未整備の地域には、数多くの浸水常襲地域が存在します。  このような中・上流域の浸水被害を軽減するため、日光川には四つの放水路が計画され、これまでに一宮市と稲沢市の市境付近に玉野放水路及び祖父江放水路を整備し、二〇一一年八月の豪雨時には、日光川の洪水四十二万立方メートルを木曽川へ排水することで、日光川の水位を約五十センチメートル低下させるなど、日光川中流域の治水安全度が飛躍的に向上しました。  残る上流域の早期の治水安全度の向上を図るためには、日光川一号放水路及び二号放水路の整備が必要であり、とりわけ過去十五年間で二十七回に上る浸水被害が発生している支川の野府川流域の浸水被害を軽減するためには、日光川二号放水路の整備が不可欠です。
     日光川二号放水路は、日光川支川の野府川から洪水を分派し、途中で一宮市管理の新丹波川の洪水を受け入れ、木曽川に排水する延長約一・九キロメートルの地下放水路で、県道大垣江南線の地下約十五メートルに内径約五・五メートルの地下トンネルと洪水を木曽川に排水する排水機場を整備するものです。  年超過確率十分の一の規模の降雨でも川から洪水があふれないことを目指し、二〇二〇年四月に、二〇三〇年度までの十一年間で集中的に行う大規模特定河川事業に採択され、整備が進められております。  気候変動に伴う降雨の激甚化がますます懸念される中、地域住民の河川整備に対する期待は大きく、一宮市の生活と産業を守るため、日光川二号放水路の早期完成が望まれております。  そこでお伺いします。  日光川二号放水路の整備の進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。 80: ◯建設局長(道浦真君) 日光川二号放水路の整備の進捗状況と今後の取組についてであります。  日光川二号放水路は、二〇一一年五月に公表した二級河川日光川水系河川整備計画に基づいて整備を進めております。  この放水路全体の整備には、多額の事業費に加え、長期の事業期間を要することから、早期に治水効果を発現させるため、まずは、地下トンネルを約五万立方メートルの貯留施設として活用することとし、この地下トンネルと野府川や新丹波川からの洪水を分派させる流入施設を一期工事として整備してまいります。あわせて、野府川上流の河道整備を実施することで、流域の浸水被害の軽減を図ってまいります。  事業の進捗状況としましては、地下トンネル掘削機の到達側の立て坑については、必要な用地を一宮市の公園敷地を活用することで確保し、昨年度から工事に着手しております。新丹波川が流入する中間立て坑については、本年一月に用地取得が完了し、来年度工事に着手する予定です。  掘削機を発進させるための立て坑については、必要な用地の約七割を取得しており、来年度も引き続き、残る用地の取得を進めてまいります。  今後も、流域の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、日光川二号放水路の事業進捗に取り組んでまいります。 81: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  杉江繁樹議員。 82: ◯十番(杉江繁樹君) それでは、私からは、歳出第五款経済労働費第二項商工業費第一目商工業振興費のうち、あいちデジタルアイランドプロジェクト推進事業費についてお伺いいたします。  近年、IoT、人工知能、ビッグデータ、そしてこうしたテクノロジーをつなぐ次世代通信である5Gの進展など、都市の在り方に大きな影響を及ぼす新たな技術、サービスの開発が世界規模で進捗しています。  こうした世界的な潮流を捉え、引き続き本県の産業が世界をリードしていくためには、最先端のデジタル技術によるイノベーションの創出は欠かせないものであると考えております。  そこで、本県と常滑市では、中部国際空港島及び周辺地域を最先端技術やサービスのオープンイノベーションフィールドとすることで、イノベーション創出の拠点化を進めるあいち・とこなめスーパーシティ構想の実現を目指しているとお聞きしております。  さらに、昨年三月には、最先端技術、サービスの基盤となる5Gの提供エリアの早期拡大や、5Gを活用したサービスの社会実装の実現に向けた連携に関する協定を、本県、常滑市及び通信事業者等との間で締結しており、5Gを活用した事業、サービスの加速化に向けた環境がいよいよ整いつつあることを感じております。  欧州の大手民間企業によりますと、5Gは製造業、流通・小売業をはじめ、幅広い分野において新たな製品やサービスの創出を促すことから、二〇三五年までに世界全体で最大十三・二兆ドル、日本円で約千八百兆円の経済効果を生み出すとの試算をしております。これは、5Gが大変大きな可能性を有していることの証左であります。  このような流れの中にあって、愛知県があいちデジタルアイランドプロジェクト推進事業において、中部国際空港島及び周辺地域を舞台として、5G等デジタル技術の社会実装の推進に向けた取組に本格的に乗り出すとお聞きしました。  本県が5G等デジタル技術を活用した最先端の技術、サービスを先んじて社会実装につなげる取組を進めることは、本県の製造業をはじめとするあらゆる産業分野のさらなる発展をもたらすものであると考えます。  中部国際空港島及び周辺地域は、空港、鉄道、展示場、さらにはショッピングモール等の多様な施設が集積する全国的にも希有な環境であります。今回のあいちデジタルアイランドプロジェクト推進事業においては、このフィールド特性を生かした先端技術の実証実験等が大いに進み、当該エリア全体が先端テクノロジーのテストベッドとなり、近い将来には、テック企業やスタートアップが多く集まる聖地となることを期待しております。  当事業では、国内外の先進的テック企業等によるアバターロボット等の実証実験や5G等デジタル技術の活用促進としてビジネスマッチングを行うとお聞きしております。  そこでお尋ねいたします。  あいちデジタルアイランドプロジェクト推進事業の具体的な内容と本事業を通じて何を目指すのかお伺いいたします。 83: ◯経済産業局長(矢野剛史君) あいちデジタルアイランドプロジェクト推進事業の具体的な内容とこの事業の目的についてお答えをいたします。  本県では、中部国際空港島及び周辺地域を5G等のデジタル技術を活用したオープンイノベーションフィールドに位置づけ、二〇三〇年に世の中での普及が見込まれます近未来の事業やサービスを二〇二五年度を目途にエリア内での実用化を目指すあいちデジタルアイランドプロジェクトを推進しております。  来年度は、二〇二四年三月に愛知県国際展示場で開催されますスマートマニュファクチュアリングサミット・バイ・グローバルインダストリーを見据えて、メタバースや遠隔操作でコミュニケーションが可能なアバターロボットによる国内外からの展示会等への参加や、デジタル空間に現実の空間を再現するデジタルツインによる出展等のシミュレーション、さらには人流データの利活用による混雑の解消といった実証実験を行います。  また、空港や展示場、商業施設などが立地する、言わば都市の縮図とも言える当該エリアの特性を生かし、ワンストップ窓口を設置して、国内外のテック企業、スタートアップによる先端的な実証実験を促進するとともに、これらの企業と本県企業等との間でビジネスマッチングを実施してまいります。  こうした取組により生み出された近未来の事業やサービスについては、産学行政で構成されますあいち産業DX推進コンソーシアム等を活用して、県内全域に横展開を図り、本県の幅広い産業分野でのイノベーション創出につなげてまいります。 84: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  高木ひろし議員。 85: ◯九十二番(高木ひろし君) 私からは、第七款建設費第三項河川海岸費のうち、木曽川水系連絡導水路事業について伺いたいと思います。  徳山ダムの水を揖斐川から愛知県や名古屋市の取水口がある木曽川まで地下トンネルを通じて流す木曽川水系連絡導水路事業は、二〇〇九年に着工を予定しておりましたが、二〇〇九年の五月に名古屋市長に当選した河村市長が水余りを理由にこの事業からの撤退を宣言して以来、十四年間凍結状態が続いてまいりました。その間、国が中心となって全国のダムについて個別の検証作業が続けられてきたわけでありますが、この導水路事業だけがいまだに検証中という状態が続き、関係自治体が合意可能な代替案を見いだす展望はまったく開けておりません。  そのきっかけとなった名古屋市が、このたび、突然撤退方針の転換を表明され、三項目の提案を要件に同事業を容認する考えを事業主体である国、水資源機構や愛知県にも伝えてきたようであります。  報道によりますと、その提案とは、そのまま紹介しますが、一、安心・安全でおいしい水道水の安定供給。本市、名古屋市の水源に揖斐川を追加することで、平常時における水道水の質的確保を図るとともに、新用途の導水からの直接取水などによりリスクへの対応力を向上させる。二、流域治水の推進。大雨の予測時に木曽川ダム群において積極的な事前放流を行い、水災害を防ぐとともに、その後の河川の流量を確保するための新用途の導水を活用する。三、堀川の再生。新用途の導水を活用した堀川への恒久的な導水と。これで以上であります。  各提案の中身は、これ以上のものではなくて、まだ明らかではない部分も多いんですが、この提案が、方針転換が出たことによりまして、十四年間、凍結・膠着状態になっていた本事業の検証作業と検討が動き出すきっかけとなり得ることだけは間違いないと思います。  その意味で、まずは、事業主体の国、水資源機構が名古屋市の提案を真剣に受け止め、関係自治体それぞれの立場で合意ができるような環境整備を急ぐべきだと思います。そして、その結論を導いていく上で、本県の役割は極めて重要なものであると申し上げたいと思います。  既に、完成して十六年がたつ徳山ダムの関係自治体は、愛知、岐阜、三重の三県、そして名古屋市、沿岸市町村であり、それぞれの事業によって得る便益に比例した費用分担、アロケーションは決まっておりますが、一体となります導水路につきましては、建設事業費八百九十億円のうち、名古屋市負担分が百二十億円に対し、本県負担分は三百十八億円であり、利水者は名古屋市と愛知県、この二自治体だけであります。この事業費も凍結していた十四年間にいまだに八百九十億でできるとは考えられず、相当上振れしているはずでありますし、そうなりますと、本県にとって、この導水路事業をやるとした場合の費用とこれによって得られる効果の検証も改めてはじき直す必要が出てまいります。  二〇〇九年の河村市長の撤退宣言がされた当時は、当時の神田知事は、国の事業を積極推進する立場でありましたけれども、二〇一一年に初当選された大村知事は、木曽川水系連絡導水路事業について、見直しをマニフェストに掲げられておったはずであります。少なくとも当時は、この事業への巨額な追加投資の有効性や環境への影響について、河村市長と問題意識を共有されていたのではなかったんでしょうか。  そこで、改めて、この時点で、河村市長の方針転換の発言を受けて、今後県としてはこの導水路事業にどのように取り組んでいくのかお尋ねしたいと思います。 86: ◯建設局長(道浦真君) 木曽川水系連絡導水路事業についてであります。  木曽川水系連絡導水路事業については、二〇〇九年十二月にダム検証の対象事業に選定されたことから、国と水資源機構を検討主体とする検討の場が設置され、検証作業が続けられており、これまでに検討の場が一回、検討の場の幹事会が五回開催されているところです。  検証作業は、中部地方の水供給のリスクや安定供給の在り方を検討するために二〇一八年十一月に国が設置した中部地方水供給リスク管理検討会の進捗を見定めて進めていくこととされており、現在、この検討会において、木曽川水系における水供給のリスクや対応策などが検討されております。  県といたしましては、このような大型の公共事業は不断の検証が必要だと考えており、ダム検証において、事業の必要性、事業効果、コスト、環境への影響、実現性などの面から、予断を持たず、しっかり検討していただくよう引き続き国に申し入れてまいります。 87: ◯九十二番(高木ひろし君) 大体予想したお答えしか出てまいりませんでしたけれども、これは国に、確かに検証事業をやっている主体は国ですから、そして、国が事業主体なんですから、国が結論へと導く責任があることは、これ、間違いありません。  しかし、国の責任ばかりを言っているだけでは、これは解決しないんじゃないかと思うんですね。やっぱり県もこの導水路事業の部分については、やっぱり名古屋市と愛知県が当事者なんですから、これ、やはりこの問題の解決、合意に向けてやはり積極的に県も汗をかくという姿勢が大切なんじゃないでしょうか。  そこで、私は一つだけお聞きしたいことがあります。  河村市長の提案の中で私が注目したのは、堀川の浄化、堀川への導水という問題であります。  これは、いろいろと経過がありまして、県議会の議事録などを検索してみましても、二〇〇四年に既に、ここにおられる塚本久議員が木曽川からの導水が堀川浄化のアイデアとしては検討に値するのではないかということを既に県議会で提案しておられます。  そして、二〇〇七年から木曽川からの導水による堀川の浄化の社会実験というのが三年間行われたんですね。これは、富田議員もその当時、堀川一〇〇〇人調査隊という市民運動がありまして、これをぜひ堀川浄化のために実現するような働きかけをすべきだということを県議会でも主張していただいているんですが、これがなぜか、浄化の効果は明らかに認められたんです。明らかにきれいになったんです。しかし、なぜか社会実験のまま終わってしまって、木曽川からの導水が本格的な検討に上ることはなかったんです。これはなぜでしょうか。これは、河村市長の導水路問題に関する撤退宣言が大いに関係しているわけですね。  つまり、庄内川水系なんですよ、堀川は。ですから、木曽川水系とは本来関係ないんです。そこへ、しかし、庄内川にはそんな水量の余裕はないものですから、木曽川の水系から引っ張ってくる。これはいろんな方法がありますが、恐らく名古屋市が想定しているのは、利水として、水道用水として鍋屋上野の浄水場まで引っ張ってくる経路が既にあります。そこでの水が十分足りているということが、河村市長は言っているわけですね。  しかし、木曽川のほうは、この導水路事業を見ても分かるように、何十年に一回には非常に深刻な渇水が起きるということが言われておりまして、ここにはそんな常時堀川へと水を流すような余裕はないということになっておるわけです。それで、河村市長が揖斐川から引っ張ってくる導水路事業を反対しているものですから、これは、ますます余裕のない木曽川からそんな堀川に流すような余裕はないと、こうなっちゃっているわけですね。  これが恐らく名古屋市とすれば、懸案の問題を解決する導水路事業に相当なまだ追加投資が必要なんですが、せめてこれが念願である堀川への導水によって実現できれば、これは、関係市町村にも迷惑をかけずに木曽川に余裕の水量が、確保を名古屋市がするわけですから、その一部を上水路経路を伝って堀川に流すということは、これは簡単に実現するんじゃないかと私は思うんですが、これは、木曽川の水を使った、以前、社会実験によって効果が認められた事業が恒久的な制度になるかどうかという点について、県の見解はいかがでしょうか。 88: ◯建設局長(道浦真君) 名古屋市から今回示された提案、三項目につきましては、名古屋市長から中部地方整備局長に要望として提案されたと承知しております。  国におかれましては、こういったことも含めて、今後、事業効果、実現性などについて検証がされると認識しておりますので、その検証をしっかりと踏まえて対応してまいりたいと思います。  以上です。 89: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  林文夫議員。 90: ◯二十三番(林文夫君) 私からは、歳出第七款建設費第五項都市・交通費のうち、都市計画事業費の中から、市町村まちづくり支援窓口についてお伺いをいたします。  人口減少や少子・高齢化などの大きな社会潮流の中、市町村においては、産業振興を目的とした工業用地開発、新たなにぎわいづくりや駅周辺での活性化を目的とした住宅地開発など、様々なまちづくりが進められております。  私の地元であるみよし市においても、西南部で工業用地開発の具体化に向けた検討が進められております。みよし市は、自動車など輸送機器産業に関する大規模な工業施設が市の中央部から南部に数多く立地しており、自動車産業において百年に一度の大変革期を迎えている中、既存立地の強みを生かし、さらなる工業立地の集積をしっかり進めていくことが重要と考えます。  また、名鉄豊田線の三好ケ丘駅の北側や南側において、住宅地開発構想の具体化に向けた検討も進められております。駅の東側は、土地区画整理事業により大規模住宅団地が形成されておりますが、同世代が同時に入居しているため、高齢化が進み始めており、活力の低下などが懸念されつつあります。そのため、駅の北側や南側などにおいて住宅地開発を進め、新たな世代の入居による世代循環や商業施設などの都市機能の新規配置により、持続可能な地域づくりにつなげていくべきと考えております。また、西側に隣接する東海学園大学との連携により、新たな魅力づくりを図っていくことも必要であります。  このように、地域の特色を生かした持続可能で魅力あるまちづくりは、大変な取組になるとは思いますが、厳しい時代であるからこそ、まちづくりの担い手である市町村には力強く進めていただくことが重要と考えます。  全国的に見ても、まちづくりのさらなる推進支援のため、国土交通省は、一昨年度より、住宅地開発の事業手法の一つである土地区画整理事業の実施に当たっては、都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画において、実施区域を都市機能誘導区域として位置づけた場合、補助率をかさ上げするなど、補助制度の見直しも行われております。  しかしながら、まちづくりの担い手である市町村では、こうした事業を展開できる職員が不足していることや、開発行為や事業手法に関する知識や経験を十分に有していないことが多いと思われます。そのため、せっかくの国の支援も活用し切れないことや、まちづくりの実現に向けた的確な対応や機動的な取組の実施が困難となり、開発機運の高まりを逸してしまうことも多いのではないかと危惧をしております。  本県の人口は、二〇一九年をピークに減少に転じるなど、都市をめぐる社会経済状況も大きく変化する中、まちづくりの主体である市町村が地域の実情に応じた特徴あるまちづくりを進めていくためには、県は、市町村が構想を具体化する早期の段階からしっかりと支えていくことが重要と考えます。  こうした中、県では、二〇一九年三月から現在の都市・交通局都市計画課に配置された市町村まちづくり支援窓口において、市町村のまちづくりに対して手厚いサポートを行っていると聞いております。  そこでお尋ねをいたします。  市町村まちづくり支援窓口のこれまでの実績と今後の進め方についてどのようかお伺いをいたします。 91: ◯都市・交通局長(金田学君) 市町村まちづくり支援窓口についてお答えいたします。  二〇一九年三月に本県が改定した都市計画区域マスタープランでは、人口減少や超高齢社会の到来を見据え、日常生活の暮らしやすさを支える集約型都市構造への転換を目標に掲げました。この目標の実現に向けては、健康、にぎわい、文化など、様々な都市機能が適切に配置されたウォーカブルなまちづくりをまちづくりの主体である市町村が各地域の特性を捉えた上で進めていくことが必要です。  そこで、市町村のまちづくりに対する支援体制を一層強化していくため、本県独自の支援窓口を開設いたしました。具体的な支援内容といたしましては、事業手法やスキーム、スケジュールの検討、市町村都市計画マスタープランの見直しなどに対し、県の有する様々な知識や経験を活用し、きめ細かく支援をしております。  これまでの四年間で名古屋市を除く全市町村から相談を受けており、その件数は二百五十一件となっております。例えば、刈谷市や尾張旭市からの駅前再開発や歩行者用デッキなどの交通施設に対する相談案件について既に事業着手されるなど、着実に成果を上げております。  また、今年度からは、都市・交通局の幹部が市町村に出向き、首長に対し、地域の課題や実情に応じたまちづくりの方向性の提案を直接行っております。あわせて、県職員が市町村に出向く形での勉強会も開催するなど、多方面からアプローチするプッシュ型の支援にも積極的に取り組んでおります。  今後とも、まちづくりの主体である市町村を支え、地域の魅力や強みを最大限生かした活力のある暮らしやすいまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。 92: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  神谷和利議員。 93: ◯二十四番(神谷和利君) 私からは、歳出第六款農林水産費第四項土地改良費第二目土地改良事業費のうち、土地改良事業費補助金についてお伺いします。  本県は、三河の北東部に広大な中山間地域を有しており、足助の昔ながらの町並みや紅葉の美しい香嵐渓、四谷の千枚田に代表される棚田など、豊かな自然や美しい景観と、文化や歴史などの資源を豊富に備える古きよき山里の風景が広がっております。  昨年五月には、これらの地域一帯を結ぶ広域農道奥三河線が全線開通され、都市部への交通の利便性が高まるとともに、設楽町や旧稲武町をはじめとする中山間地域の交流、結びつきがさらに強まることで、地域全体の活性化を期待しているところであります。  そして、中山間地域には、県内でも貴重な高冷地農業が可能な地域であり、ミネアサヒや愛知の伝統野菜である天狗なすなど、産地としても知られております。  ミネアサヒは、二〇二〇年産米の食味ランキングにおいて、愛知県初の特Aを獲得した非常においしい米で、中山間地域のきれいな冷たい水で栽培されているブランド米として知られておりますが、生産量も少ないことから幻のお米とも呼ばれており、付加価値の高い農産物となっております。  中山間地域の農地は、このような貴重な作物の生産の場であり、その農業生産活動において美しい景観をつくり出すとともに、地域や県土を守る重要な役割を担っております。  これは、水田や畑が雨水を貯留することにより、洪水や土砂崩れを防ぐ機能、貯留した水を緩やかに河川に還元して河川の流れを安定させる機能、水田や畑から地下にゆっくり浸透し、地下水となり良質な水を提供する機能などで、地域に暮らす住民だけでなく、下流域の都市部、平地部の住民にも多くの恩恵をもたらしております。これらの多面的機能は、将来にわたって守っていかなければならない貴重な財産であると考えております。  そして、重要なことは、これらの機能を発揮するためには、中山間地域において、これまでと同様に人々の生活が営まれ、その礎となる農地が守られ、農業が継続されることであります。  こうした中、将来にわたり安全・安心に暮らせる地域をつくり、元気で豊かな愛知の山里づくりを実現するため、あいち山村振興ビジョン二〇二五が策定されております。ビジョンでは、将来にわたって農業の生産力を維持するため、優良農地を確保、維持し、農業水利施設等の機能が確保されるよう施設の整備、更新や長寿命化を推進されることとされております。  しかしながら、中山間地域では、一九七〇年代に整備された農業用の用水路や排水路の老朽化が深刻であり、農家の方々は、施設の維持管理や修繕に大変苦慮しております。加えて、高齢化や後継者不足により農業を続けていくことを諦めざるを得ないといった声もあり、私も大変心配しているところであります。地域の農業を守るためには、施設の更新整備が必要であり、待ったなしの状況であります。  このため、本県では、中山間地域の老朽化した農業用の用排水路などの生産基盤施設を整備する県営事業として、農地環境整備事業を実施しているとのことで、豊田市の北部で実施した敷島地区では、この事業により、老朽化が進行していた用排水路等が適切に更新され、農地の保全が図られております。  農地環境整備事業による生産基盤整備の取組については、これからも本県の中山間地域を守るため、迅速かつ計画的な実施が求められるところであります。  さらに、健全な農地を将来にわたって維持していくためには、生産基盤整備だけでなく、地域を支えていく意欲ある農家、いわゆる担い手を確保、育成して、農業を継続していただくことが重要であります。しかしながら、中山間地域では、担い手への農地の集積状況が県内でも低い水準であり、農地集積率の向上が課題と考えております。  平野部の基盤整備事業を実施している地域では、事業の実施に併せて、担い手への農地集積を促進する国の補助制度による取組が行われ、担い手の確保、育成において成果を上げていると聞いております。  このため、中山間地域においても、農地環境整備事業による生産基盤整備に併せて、担い手への農地の集積を促進する取組を県がしっかり支援していくことが必要ではないかと考えております。  今年一月に、我々、自由民主党県議団から知事にお願いいたしました令和五年度当初予算編成に関する要望におきましても、土地改良施設の更新整備に併せて、中山間地域の営農形態、特性に適した担い手への農地集積を促進する支援制度の創設を求めているところであります。  高齢化や人口減少など、全国的に中山間地域を取り巻く状況は大変厳しいですが、本県の中山間地域が将来にわたり存続するよう、そして、農業の継続により維持される県土の保全機能、歴史的遺産、美しい景観などを次の世代に引き継いでいくためには、生産基盤の整備と農地を守る担い手の確保、育成は、手後れになる前に対策を打たなければなりません。  そこでお尋ねいたします。  中山間地域の生産基盤整備と併せて、農地集約を促進するため、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 94: ◯農林基盤局長(長田敦司君) 中山間地域の生産基盤整備に併せて、農地集積を促進するため、県としてどのように取り組んでいくのかお答えいたします。  本県の中山間地域では、農家の高齢化や後継者不足が顕著であり、担い手への農地集積率は県内でも低く、耕作放棄地率は平地に比べて非常に高くなっております。  生産基盤の整備費用に併せて、担い手の確保、育成と農地集積を促進する国の補助制度もありますが、事業要件として五五%以上の高い集積率が求められており、傾斜がきつく、低地に比べて区画が小さい本県の中山間地域の集積率は現状で二〇%程度であるため、国の補助制度を活用することが困難となっております。
     このような状況を打開するため、新年度から県単独の土地改良事業費補助金の制度を拡充し、本県の中山間地域に適した仕組みにより、担い手の確保、育成と農地集積を促進してまいります。  具体的には、生産基盤を整備する県営農地環境整備事業を実施し、これを契機に、担い手への農地集積率を三五%以上確保する地区に対して県が補助金を交付するものです。集積率に応じて段階的に補助率を引き上げることで、さらなる農地の集積を促し、地域の営農の体質強化と耕作放棄地化の抑制を図ってまいります。  県といたしましては、中山間地域の生産基盤整備と担い手への農地集積を促進する新たな補助制度を一体的に取り組むことにより、多面的機能を有する中山間地域の農地を守り、持続可能な営農を推進してまいります。 95: ◯副議長(佐藤一志君) 進行いたします。  鈴木雅博議員。 96: ◯二十七番(鈴木雅博君) 私からは、歳出第五款経済労働費第三項労政費のうち、中小企業人材確保支援事業費についてお伺いいたします。  本県では、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済活動が停滞する中、コロナによる離職者の再就職支援として地域別の就職面接会を開催し、マッチング機会を提供してまいりました。  しかし、規制が緩和されて経済活動が徐々に正常化するにつれ、一旦和らいでいた人手不足感も再び強くなってきております。  民間の調査によると、二〇二二年に人手不足を理由とした倒産件数は全国で百四十件に上り、前年比で二六%も増え、二〇一九年以来、三年ぶりの増加となっております。そして、人手不足倒産が最も多かったのは建設業で、次いで小売業、サービス業、製造業の順になっており、サービス業の内訳では、ソフトウェア開発、老人福祉などの業種で多くなっております。  別の調査では、県内でも、二〇二二年十月に、正社員が不足していると感じている企業の割合は四九・八%で、前年調査から八・七ポイント増加となり、二年前の二〇二〇年と比較すると十九・〇ポイントの大幅な上昇となり、既にコロナ禍前の二〇一九年十月の四八・六%を上回っております。業種別では、サービスが六六・一%で最も高く、次いで建設が五八・二%、小売が五五・二%、不動産が五〇・〇%と、これらの業界では半数超の企業で正社員が不足している状況となっております。  また、本県の二〇二三年一月の有効求人倍率は、一・四二倍と、コロナ発生以降最低となった二〇二〇年九月の一・〇二倍から緩やかに上昇し、コロナ前の水準に回復しつつあります。一方で、職業別に見ると、土木は十・七八倍、保安は八・四四倍、建設は六・四九倍、介護サービスは四・四八倍、自動車運転は三・八三倍と、業種により慢性的な人手不足の状況が続いております。特に、土木、建設、自動車運転は、来年、二〇二四年に残業規制が強化されることとなっており、深刻な人手不足が懸念されております。  さらに、愛知労働局が取りまとめた二〇二二年十月末時点の本県における外国人雇用状況によると、外国人労働者数は十八万八千六百九十一人、外国人を雇用する事業所数は二万三千八百五十所と、労働者数、事業所数ともに、届出が義務化された二〇〇七年以降、過去最高を更新しましたが、中小企業で多く働いている技能実習は三万三千四百七十一人と、前年比三千三百六十三人、九・一%の減少となっております。これは、コロナ禍前の二〇二〇年の四万四千二百六十八人と比較すると、一万人以上の減少となりました。  技能実習の受入れ人数が全国で最も多く、技能実習の五八・五%が製造業、一七・八%が建設業で雇用され、各産業の重要な担い手となっていることから、技能実習の大幅な減少は、県内の人手不足感がさらに高まっている要因の一つにもなっていると考えます。  コロナが終息し、技能実習生が以前のように戻ってくることを期待しますが、急激な円安や自国の経済発展によって、実質的な収入が減り、実習先を日本以外に変更するなど、日本が就労先として選ばれなくなるかもしれないと懸念しております。  また、最低賃金は毎年引き上げられておりますが、百六万円を超えると社会保険料などの支払いが生じて、手取り額が減少してしまうため、パートタイム労働者の方が勤務時間を調整し、従業員の数は減っていないものの新たな労働力の確保が必要となっている中小企業も増えております。  このように、経済活動の回復が進む中、コロナ禍で疲弊している中小企業の中には、先ほど述べたように、人手不足から労働力を確保できず、経営に行き詰まる企業も増えてきており、少子・高齢化が進む地方の中小企業では、人材確保がさらに深刻な課題となっております。  一方で、様々な理由により離職を余儀なくされた方や現在のキャリアに不安を抱えて転職を希望する方に対する再就職に向けた支援が求められております。また、新規学卒者の就活市場では、自分のやりたい職業が分からず苦労する学生が増えており、様々な業界を知り、視野を広げるための支援も必要となっております。  このため、離転職者と人手不足企業とをマッチングするとともに、就活に臨む学生の視野を広げ、人手不足業界への就職につなげることにより、求職者と企業の双方を支援し、中小企業の人材確保を図ることが喫緊の課題となっております。  そこでお尋ねいたします。  コロナ禍の制限が解除され、経済活動が正常化しつつある一方、中小企業の人材確保が深刻な課題となっている中、人手不足に直面する企業への取組への支援や労働者の立場に立った支援を図るとともに、失業を余儀なくされた方に対する再就職に向けた支援や新規学卒者の就職活動への支援に着実に取り組むことが必要だと考えますが、中小企業の人材確保に向けどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 97: ◯労働局長(日高啓視君) 中小企業の人材確保支援についてお答えいたします。  本県の有効求人倍率がコロナ前の水準に回復しつつある中、人手不足が顕著な業界では、事業活動への影響が懸念されております。  人手不足の要因の一つとして、業界への理解が不足していることが考えられ、求職者にこうした業界をよく知っていただき、目を向けていただくことが必要であります。  そこで、本県では、新たに、人材確保に苦労している業界の中小企業を支援する取組を行うことといたしました。  まず、中小企業を対象に、業界や自社の魅力を洗い出し、求職者に入社動機を高めてもらうためのセミナーを開催するとともに、業界研究フェアにおいて実際にアピールする場を提供してまいります。  また、求職者に対しては、業界や企業の魅力を知ることができる業界研究フェアや一日職場体験への参加を促し、仕事選びの視野を広げていただく機会といたします。  その上で、双方が参加する合同企業説明会をオンライン方式と対面式でそれぞれ開催し、中小企業と求職者とのマッチングを図り、人手不足に悩む中小企業の人材確保を支援してまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 98: ◯四十番(南部文宏君) 本日はこれをもって散会し、明三月九日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 99: ◯副議長(佐藤一志君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 100: ◯副議長(佐藤一志君) 御異議なしと認めます。  明三月九日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後四時三十五分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...